深夜0時に起こる奇跡! A.ランゲ&ゾーネの傑作「ツァイトヴェルク・デイト」にピンクゴールドモデルが登場

  • 文:倉持佑次
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時計の針がくるくると回る——そんな当たり前の概念を覆したのが、A.ランゲ&ゾーネの「ツァイトヴェルク」である。2009年の登場以来、機械式でありながらデジタル表示という革新的なコンセプトで時計界を驚かせ続けているこのシリーズに、また新たな進化を遂げたモデルが登場した。

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ピンクゴールドケースの優雅な佇まいを纏う新作「ツァイトヴェルク・デイト」。

今回発表された「ツァイトヴェルク・デイト」の新作では、「ツァイトヴェルク」ファミリー初となるピンクゴールドケース×グレーダイヤルの組み合わせが採用されている。既存のホワイトゴールドモデルから6年の歳月を経て誕生したこの新作は、従来にない温かみのある金色の輝きとシックなグレーダイヤルによって、絶妙なコントラストを生み出している。

さらに、ケース径44.2㎜、厚さ12.3㎜というサイズ感は存在感がありながらも上品さを保っており、手首に収まる美しいフォルムを実現している。これにダークブラウンのアリゲーターベルトとピンクゴールド製のピンバックルが組み合わされることで、全体の調和が完成するのだ。

一方、この時計には日付表示にも独創的な工夫が凝らされている。ガラス製の日付リングには1から31までの数字がプリントされ、小さな赤色のセグメントが現在の日付を示す仕組みだ。ひと月をかけてこの赤い表示が一周する様子は、まさに時の流れを視覚化した美しい演出に他ならない。

そして、この時計の真の魅力が現れるのは深夜12時ちょうどのことである。商品開発ディレクターのアントニー・デ・ハスが「格別なショー」と表現するように、3つすべての瞬転数字式ディスクと日付リングが同時に切り替わる瞬間は、まさに機械式時計の芸術といえよう。その瞬間に感じられる力強さと正確さは、ケースを通して確実に着用者へと伝わってくる。

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赤いセグメントが今日の日付を表示。パワーリザーブインジケーターとスモールセコンドが機能美を演出する。

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グラスヒュッテの伝統をいまに伝える、芸術的な装飾技法

このような複雑な動作を支えているのが、心臓部となる自社製キャリバー「L043.8」である。完全巻上げ状態で約72時間のパワーリザーブを実現する精密機械であり、サファイアクリスタル製のケースバックからは、職人によるていねいな仕上げが施されたムーブメントの美しさを堪能することができる。

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ケースバック越しに望むムーブメントの全貌。伝統的な装飾技法による仕上げが、機械式時計の芸術性を物語る。

特に注目すべきは、特許技術の瞬転数字式表示機構が一日を通して1440回という驚異的な回数で数字を切り替えることだ。この精密な動作を支えるのが、パワフルなツインバレルと動力制御メカニズムであり、フライガバナーが過剰なエネルギーを吸収することで、機構全体を保護する巧妙な設計となっている。

思えば、1845年にグラスヒュッテで工房を設立したA.ランゲ&ゾーネは、常に伝統的な時計づくりの技術を大切にしながらも、革新的なコンセプトを追求してきた歴史がある。今回の「ツァイトヴェルク・デイト」は、まさにその姿勢を体現した傑作といえるのではないだろうか。

深夜12時、静寂の中で数字が瞬時に切り替わる瞬間——それは単なる時刻の表示を超えて、時そのものと向き合う特別な体験を約束している。機械式時計の魂とデジタル表示の未来性が出合った時、手首の上に新たな時代の扉が開かれるのかもしれない。

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ツァイトヴェルク・デイト/手巻き、PGケース、ケース径44.2㎜、パワーリザーブ約72時間、アリゲーターストラップ、3気圧防水。価格未定

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職人技が光るキャリバー「L043.8」の内部機構。精緻に組み上げられた歯車群が複雑な瞬転機構を支える。

A.ランゲ&ゾーネ

TEL:0120-23-1845
www.alange-soehne.com

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