カルティエの2025年に発表された新作。注目は腕時計サイズの小径化ブームに逆らう「タンク ルイ カルティエ」のラージモデル、エクストララージモデルの「サントス デュモン」の新作。また「タンク ア ギシェ」の再解釈も見逃せない。
1. タンク ルイ カルティエ

「タンク ルイ カルティエ」は「タンク」のルーツである最初のモデル「タンク ノルマル」の誕生から5年後、1922年にファーストモデルが世に出た超ロングセラーだ。その名品の系譜に、次世代型の自動巻きメカニカルムーブメントを備えたラージモデルの新作が追加された。この新作が加わることで「タンク」コレクションはより充実し、進化した。ジュネーブのウォッチズ&ワンダーズは新たなトレンドの震源地だが、このニュースは腕時計の大型化ブームの兆しを証言するものになるかもしれない。
発表されたのはピンクゴールドとイエローゴールドのモデル。サイズアップされたことで存在感を増している。いっぽうでレイルウェイミニッツトラック、ローマ数字のアワーマーカー、ケースフォルムの平行した縦枠、 ブルー・スチールの剣型針、 サファイアを飾ったパール状の飾り付きリューズなど、不動のスタイルは健在だ。搭載されるムーブメントは「タンク」の輪郭とプロポーションにジャストフィットする「キャリバー 1899MC」。新しい機械式のパワーユニットを得て、タイムレスなアイコンとして悠々と1世紀の時を越えた「タンク」は、未来に向けたコレクションの永続性をまた確認した。

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2. タンク ア ギシェ

意表を突いて登場したのが、再解釈を施した「タンク アギシェ」の新作群だ。オリジナルは1930年代に登場した歴史的モデル。満を持して、時計愛好家の注目を集める独創的なコレクション「カルティエ プリヴェ」の新作として、颯爽と現われた。オリジナルから変わらないのが、極めてユニークな時刻表示だ。“ギシェ”=小窓にディジットで時と分を表示するテクニックとコンセプトは、機械式腕時計の新しい可能性を切り開き、未来を予言したものだ。メゾン創業150周年にあたる1997年にプラチナモデルが150本、2005年には 「コレクション プリヴェ カルティエ パリ」として、ピンクゴールド製のモデルが100本。ごく限られた数ながら、独創的な発想は護られてきた。
今回の再解釈では、2つのデザインで新モデルは展開する。一つのモデルは1928年のウォッチデザインを採用し、時表示と分表示の小窓をそれぞれ12時位置、6時位置に配したもの。イエローゴールド、ピンクゴールド、プラチナのバリエーションで展開する。もう一つのプラチナ製モデルはシリアル番号が入り、200本限定。小窓が斜めに配置された特徴的なデザインのは、30年代の豊かなクリエイティビティと当時のスタイルやフォルムの探求にオマージュを捧げたものだという。



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3. サントス デュモン

カルティエ「サントス」のコレクションは、そもそもパリで絶大な人気を誇った飛行家アルベルト・サントス=デュモンのために、ルイ・カルティエが「飛行中でも時間がわかる時計」としてつくったのが始まり。その正統な後継者である「サントス デュモン」は、4種類のケースサイズで展開されているが、一番大型であるエクストララージモデルの新作が登場した。
エクスストララージモデルでは現在、ピンクゴールドケースがラインアップされているが、イエローゴールド版が2モデル、新たに登場する。SSケースにYGベゼルのコンビモデルと、ゴールド無垢ケースはどちらも新鮮に映える。全モデルとも縦46.6×横33.9mmのサイズだが、厚さは7.5mmとごくスリムであり、着用感に優れることも見逃せない。

一方印象的な3つのダイヤルデザインとカラーで登場した新作は、それぞれケースマテリアルも異なるバリエーション。1つ目のイエローゴールドケースのモデルは「航空機の構造物をイメージし、木材を彷彿させるデザイン」、ピンクゴールドは「羽のようなシルクをイメージしたデザイン」、プラチナは「メカニカルなパーツのような、コッパーをイメージしたデザイン」だという。ストラップのカラーもそれぞれ異なり、個性を強調する。


