3月8日は国際女性デーです。以前に比べると一般の認知も広がってきている一方で、経済・教育・政治参加などの分野で世界各国の男女間の不均衡を示す指標である国連のジェンダーギャップ報告書によると、現在146か国中116位、主要先進国の中で最低ランクの日本は、まだまだそのギャップを埋めていく必要があると思います。
今回は国際女性デーに合わせて、女性を描くビジュアルにフォーカスし、家庭や子育て、仕事など様々なライフスタイルの中で、ジェンダーギャップを解消するビジュアルについて考えていきます。
<前編はこちら>
男女ともに仕事と家庭の両立サポートを求める
ゲッティイメージズで定期的に行っている、ビジュアル市場調査「VisualGPS」によると、日本の女性消費者の10人に8人以上が「できるだけ自分らしく生きることが大切」であり、「仕事と家庭の両立のためにもっとサポートが欲しい」と回答しています。これは世界平均(7人に1人)よりも高いという結果が出ています。 日本の男性消費者ではさらに高く、10人に9人がそのように回答しています。仕事と家庭の両立は、ジェンダーを超えて多くの人が直面する悩みであるということが再確認できます。
さらに、日本 では7人に1人の消費者が、「企業やブランドがあらゆる種類の多様性を賞賛することが重要である」と回答しているにも関わらず、大多数の女性消費者は、メディアや広告で見受けられるビジュアルに、「共感できる人が表現されていない」と感じています。こちらも世界平均よりも高い結果となっています。
このような消費者意識に応えられるよう、企業はビジュアルコミュニケーションでどんな点に配慮すると良いのでしょうか。
ビジュアルコミュニケーションで考慮すべきこととは
ジェンダーギャップを解消し、ステレオタイプのないビジュアルとはどんなものなのでしょうか。そのヒントをご紹介します。
1.女性が高い地位にいて、さまざまな仕事に従事している様子が描かれていますか?
2.女性が母親という役割以外にも様々な役割を担っている場面を描いているでしょうか?
3.子どもに焦点を当てた場合、性別による固定観念を取り除いていますか?
ゲッティイメージズで日本企業に人気のビジュアルを分析してみると、日本では、女の子はおままごとや、読書をするビジュアルの使用率が高いのに対し、男の子はスポーツなどアクティブなシーンにおけるビジュアルが多く使用される傾向にあります。
4.完璧を求めるのではなく、シワ、白髪、体型、体毛、傷、ニキビ、ほくろなど、その人特有のあらゆる特徴をポジティブに見せるビジュアル表現をしているでしょうか?
5.様々なアイデンティティを持つ女性を意識していますか?
たとえば、肌の色、髪型、能力、体型、宗教、性的指向、性自認の異なる女性が描かれていますか?
6.女性アスリートを描く場合、性的な表現ではなく、アスリートとしての身体能力を発揮しているように描かれていますか?
7.男性の家庭での姿はどうでしょうか。女性と協業している様子、セルフケアに取り組む姿、子どもの世話や家事を担うなど、あらゆる表現を考えていますか?
国際女性デーをきっかけに、みなさんの頭の中で想像しがちなジェンダーに関するビジュアルについて、ステレオタイプが無いかどうかぜひ問い直してみてください。
Getty Images/iStock クリエイティブ・インサイト マネージャー
ビジュアルメディアの学歴を持ち、映画業界に従事。2016年からはGetty Images/iStockのクリエイティブチームに所属。世界中のデータや事例をもとに、広告におけるビジュアルの動向をまとめた「Creative Insights」を発信。多くのクリエイターをサポートしながら、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。
ビジュアルメディアの学歴を持ち、映画業界に従事。2016年からはGetty Images/iStockのクリエイティブチームに所属。世界中のデータや事例をもとに、広告におけるビジュアルの動向をまとめた「Creative Insights」を発信。多くのクリエイターをサポートしながら、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。