アジア人を讃える月間だった5月。“本当にアジア人らしい表現”について考えたこと

  • 編集:穂上愛

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アメリカで5月は「Asian-American Heritage Months」です。アジア系、太平洋諸国の人々を称える月間で、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカ各地では、アジアの文化にちなんだ行事が各地でおこなわれ、アジア一色になります。
Getty Imageでも、「Asian-American Heritage Months」を記念し、インクルーシブな“アジア人の表現”を考えて、Asian American のみでなく、アジア太平洋地域のアジアの文化や人をビジュアル化する際の、ガイドラインを作成中です。

私たちのチームが定期的に行っているビジュアル調査「Visual GPS」は、世界26カ国、1万人の消費者を対象に、消費者が何を求めてるのか? 日常生活で大切にしていることは何なのか? を取り出し、ビジュアルを通して世界中の様々な地域の人たちと企業をどう繋げることができるのかといった調査活動をしています。

今回はGetty Images のVisual GPSの調査を参照しながら、“本当にアジア人らしい表現”とはなにかを考えてみたいと思います。

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MollyNZ,1162659948,Getty-Images

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アジア人に対してビジュアルGPSの調査を行う理由

いま「アジアン・アメリカン」の人たちや太平洋諸国の人たちは、アメリカで急速に成長している人口層です。そういった人たちは、アメリカに対する貢献や色々な産業のリーダーシップを通じて、必要不可欠な存在になっています。
AAPI、アジア・太平洋諸島系アメリカ人の人たちについては、アメリカでは教科書にも載っていなかったりとまだまだ理解が浅く、誤った表現をされることも多いのです。

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Trevor-Williams,1389153063,Getty-Images

Visual GPSの調査によると、アジア太平洋地域の消費者の5人に4人が、広告やメディアにさまざまな民族や背景、容姿の人を登場させるだけでは不十分で、企業は人々の真のライフスタイルや文化を、もっと上手に表現する必要があるという意見に同意しています。

また、アジア太平洋地域の消費者の5人に3人は、体格、ライフスタイルの選択、人種、民族、性自認、障害、セクシュアリティに基づいて差別されたことがあると感じていることがわかりました。これらの結果からも、私たちはアジアの文化や人々がいかに多様で多面的であるかを認識することが重要であると考えています。

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Edwin-Tan,1311912093,Getty-Images

Getty Imageのサイト上で過去1年にダウンロードされたビジュアル分析では、オーストラリア、日本、東南アジアにおける最新の人気ビジュアルは、若くてスリム、肌の色が明るいアジア人が仕事する姿という、お決まりのものでした。

中国人、日本人、タイ人のビジュアルが人気で、次いで多民族、白人といった人気順となっています。これらのビジュアルは、基本的なメッセージ、スタイリング、感情(オーバーに幸せを表現してる)において類似しており、こういった単調な表現は、個々の民族の文化とのつながりが希薄で、アジア人の本当の姿を反映しているビジュアルはあまりありません。

アジアは世界人口の59.5%を占める大陸であり、メディアや広告において重要な役割を担っています。 また、多くの国や民族で構成されているため、各地域の豊かさや多様性を認識し、それぞれの文化を適切に表現することは、いまとても大切なのです。

連載記事

遠藤由理

Getty Images/iStock クリエイティブ・インサイト マネージャー

ビジュアルメディアの学歴を持ち、映画業界に従事。2016年からはGetty Images/iStockのクリエイティブチームに所属。世界中のデータや事例をもとに、広告におけるビジュアルの動向をまとめた「Creative Insights」を発信。多くのクリエイターをサポートしながら、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。

遠藤由理

Getty Images/iStock クリエイティブ・インサイト マネージャー

ビジュアルメディアの学歴を持ち、映画業界に従事。2016年からはGetty Images/iStockのクリエイティブチームに所属。世界中のデータや事例をもとに、広告におけるビジュアルの動向をまとめた「Creative Insights」を発信。多くのクリエイターをサポートしながら、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。