2021年、LVMH傘下に入り、新たな一歩を踏み出したティファニーのウォッチメイキング。グループ内の時計ブランドやムーブメント開発会社との連携やリソースを活かし、ハイジュエラーならではの美的感性に富んだ革新的なデザインやクラフツマンシップと、傑出したスイスの時計技術を融合させる。そんなウォッチメイキングを率いるキーマンに、話を訊いた。
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前編:ティファニーの時計製作、アメリカの歴史とともに歩んだその物語を紐解く
ハイジュエリーで培った、クラフツマンシップと高いデザイン性を強みに
新たなスタートを切ったティファニーのウォッチメイキングを率いるのが、ニコラ・ボーだ。時計業界で30年以上のキャリアを持ち、ラグジュアリーブランドで要職を歴任してきた。2021年にティファニーがLVMHグループに参画するとともに現職に就任。通常、時計の製品開発には数年以上を要するが、驚くべきことに実質2年で新作を発表した。実現にはふたつの要因があったと話す。
「まず、創業初期から時計を手掛けてきたティファニーの歴史に基づいて未来を描くという明確なビジョンがありました。次にゼロからのスタートということで、ジュネーブに開発から生産までをワンフロアで行う体制を整えました。目的意識を共有するとともに、10m先には時計師がいて常にコミュニケーションを取れる。問題解決も迅速に対応できます」
それも1874年にアメリカのブランドとして初めてジュネーブに時計の自社製造工場とショップを構えた歴史があってのことだろう。その上で「最も重要なのはデザイン」と力を込める。
2025年に発表した新作では、ティファニーで20年以上活躍したデザイナーのジャン・シュランバージェに敬意を表し、彼が手掛けたジュエリーの代表作のデザインを腕時計に継承した。
「私たちは常にジュエリーウォッチの創作に注力し、デザインを最優先し、それに合ったスイス製の高級ムーブメントを搭載してきました。さらにLVMHに参画したことで、グループ内の名門時計ブランドをはじめ、ムーブメント会社との協業を加速化しています」
さらにニューヨークのジュエリーチームとは稀少素材の調達や技巧について連携を重ね、装飾とムーブメントの開発が2系統に分かれつつ一体化して進んでいく。
「世の多くのジュエリーウォッチは、既存のムーブメントを採用するためサイズや厚みで制約が多く、デザイン性が損なわれているものも少なくありません。また近年はメティエダールが注目され、時計専業ブランドでもジェムセッティングやエナメルなど伝統技法に取り組んでいますが、その多くは美観に終始しています。一方、私たちはデザインのために一切の妥協をしませんし、装飾と機能は分けるのではなく、渾然一体となって存在するものなのです」
1837年に創業し、いまも現存するアメリカのラグジュアリーブランドは他にない。
「当時はまだ開拓時代でしたし、ハイジュエリーを扱うなんてまさに開拓者です。それはアメリカ発祥のブランドの文化として息づき、自由な発想とともに未来に向けて進化を続ける創造性は永遠の革新性といえるでしょう。それは、ウォッチメイキングにも確実に宿っているのです」
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色彩と造形の意匠を支える、ジェムセッティングやエナメル技法
「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー バード オン ア ロック ツァボライト ウォッチ」
シュランバージェが1965年に発表した「バード オン ア ロック ブローチ」から着想を得た腕時計「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー バード オン ア ロック ツァボライト ウォッチ」。バゲットカットされた36石のツァボライトをセットしたアウターリングに、ダイヤモンドで飾られた鳥が羽を休め、手首の動きに合わせ回転する。スイスの高級ムーブメント会社、アルティムの「Cal. LTM2100」を内蔵。
「ティファニー エタニティ ウィステリア ウォッチ」
19世紀末から20世紀初頭にかけてティファニー スタジオで製作された「ウィステリア ランプ」を腕時計で再解釈した「ティファニー エタニティ ウィステリア ウォッチ」。花や昆虫をモチーフにしたアール・ヌーヴォーのデザインを、オープンワークの文字盤に施した色鮮やかなプリカジュール エナメルで表現。インデックスには12種類の異なるカットのダイヤモンド(計1.9ct)をちりばめる。
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名作ジュエリーから着想し、唯一無二の腕時計へと昇華した最新作
「ジャン・シュランバージェバイ ティファニー 24 ストーン ウォッチ」
ジャン・シュランバージェバイ ティファニー 24 ストーン ウォッチ/自動巻き、18KWGケース、ケース径39㎜、パワーリザーブ約38時間、アリゲーターストラップ、3気圧防水。¥26,180,000(参考価格)/ティファニー(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
シュランバージェが1959年にデザインした「16ストーンリング」をモチーフとした「ジャン・シュランバージェバイ ティファニー 24 ストーン ウォッチ」。18KYGのクロスステッチをインデックスのようにあしらったリングが腕の動きに合わせて回転し、総計6.5ct以上のダイヤモンドが躍動感とともに美しく煌めく。リューズには大粒のダイヤモンドを、6本爪で知られる独自のティファニー セッティングで留めた。
「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニーバード オン ア ロックフライング トゥールビヨン」


1965年の「バード オン ア ロック」ブローチにインスピレーションを得たデザインに、ブランド初のフライングトゥールビヨンを搭載。ハイジュエリーと複雑機構を融合した。稀少な天然ターコイズを16枚積層し、2羽のバードが青空を飛び回るようだ。デザインを最優先し、ムーブメントはアルティムに開発製造を依頼した。
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前編:ティファニーの時計製作、アメリカの歴史とともに歩んだその物語を紐解く
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