モータースポーツのDNAを色濃く宿す「タグ・ホイヤー カレラ」に、藤原ヒロシ率いるフラグメントが再び新たな息吹をもたらした。第三弾となる「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション」は、両者の美学がさらなる境地で結実した、500本限定の注目必須コラボモデルだ。
最先端の技術とアバンギャルドな美学を融合し、時計界を牽引し続けるタグ・ホイヤー。その象徴ともいえる「タグ・ホイヤー カレラ」は、1963年に創業家4代目のジャック・ホイヤーが、コンマ数秒を争うレーシングドライバーのために開発したクロノグラフだ。過酷なレースとして知られる「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」に由来する名を冠したこのモデルは、誕生以来、ブランド哲学を体現する一本として革新を重ねてきた。
その「タグ・ホイヤー カレラ」を基盤に、藤原ヒロシ率いるフラグメントとのコラボレーションが再び実現した。2018年に始まった両者のプロジェクトは今回で三作目。毎回大きな話題を呼んできたが、新作「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション」は、その創造的対話がさらに深化した結晶と言える。
まず目を奪うのは、光の当たり方で表情を変えるブラックオパーリンダイヤルにホワイトの湾曲フランジを合わせた、強く美しいモノトーンコントラスト。藤原の代名詞ともいえるミニマルな配色と、39mmのグラスボックスケースが相まって、アーカイブのエッセンスを現代的に再解釈している。
さらにダイヤルには、フラグメントの象徴であるサンダーボルトロゴがさりげなくレイアウトされ、静かな表情の中に確かな個性を添える。ダイヤル、サブダイヤル、フランジに施されたマーキングはすべてシルバーで統一され、情報を必要最小限へと整える“藤原ヒロシの美学”が貫かれている。
ディテールワークも秀逸だ。クロノグラフ針には透明感ある輝きをもつロジウムコーティングを採用し、視認性と上質感を両立。さらに、ベゼルにはライトグレーのタキメータースケールを取り入れ、黒と白のモノトーンだけでは生まれない柔らかな階調をプラスしている。ケースはステンレス・スティールの交互仕上げが施され、ドーム型サファイアクリスタルがダイヤルを柔らかく包み込むように縁取る。素材の光を美しく制御するこれらの仕上げも、藤原ヒロシの細やかなディレクションが反映されたものだ。
藤原ヒロシ自身も「デザインのバランスを守ることを大切にし、理由のないものは一切加えていない」と語るように、本作は徹底したミニマリズムの中に確かな個性が宿る一本に仕上がっている。
そのデザインを支えるムーブメントには、タグ・ホイヤー自社製キャリバー「TH20-00」を搭載。約80時間のパワーリザーブと5年間の延長保証、コラムホイールと垂直クラッチによる滑らかなクロノグラフ操作、双方向自動巻き上げ機構の高効率なエネルギー供給など、日常使いにおいても確かな性能を備える。
三度目の共演となる今回のコラボレーションは、単なる限定モデルの枠を超え、“次世代のカレラ像”を提示する重要な一歩と言える。ミニマルと機能美が響き合うこのタイムピースは、時計とファッションの境界を軽やかに越える、新たなアイコンとして記憶に残るだろう。
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
TEL:03-5635-7030
www.tagheuer.com

谷田部 凱
エディター/ライター
文化服装学院アパレルデザイン科を卒業後、独学でWebライターとして活動を開始。徳間書店のモノ・トレンド誌『GoodsPress』編集部にて約2年間の編集経験を経て、現在はフリーランスとして活動中。ファッションや時計をはじめ、家電、オーディオ、ウェルネス、モビリティなど、多彩なカルチャーに関心を寄せている。近ごろはランニングやサウナ、自転車に熱を上げる日々。