バンコク旅行で訪れたい、本格タイ料理の人気レストラン5選

  • 写真:松井聡美(P1〜4)、西山浩平(P5〜6)
  • 編集&文:藤村はるな
  • 通訳:高杉美和(P2)

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アートや建築以上に、バンコクがいま世界から注目を集めているのが食文化だ。「アジアのベストレストラン50」の上位を独占するなど、独創的なファインダイニングが急増している背景にあるのは、多様な食文化が融合した地域性と“タイらしさ”の追究だ。「世界的に評価される、バンコクのファインダイニング。最注目の3店はここだ!」に続き、本記事では、古典タイ料理やインターナショナルな料理を供する人気レストラン5軒をまとめて紹介する。

Pen最新号は『バンコク最新案内』。再開発が進み、新たな価値を創造するタイの首都・バンコク。本特集では、各分野の最前線で活躍するキーパーソンに話を訊くとともに、訪れるべき旬のスポットを紹介。驚くべきスピードで進化を続けるバンコクには、「いま」しか見られない姿がたくさんある。

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アハーン

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サイフォンで温めて食べる、季節のハーブたっぷりのトムヤムクンは、店の看板メニューのひとつ。

調理法から味覚や地域まで、料理に宿るタイの伝統と革新

タイのレストランシーンを長らく牽引してきた「アハーン」。タイ各地の旬で新鮮な食材のみを使って生み出される伝統的タイ料理は、まさにこの国の料理の神髄を知るにふさわしい。シェフのチュムポン・チェーンプライは、タイ人で初のミシュラン2つ星を獲得した人物だ。

 「コンセプトは『タイの知恵』です。タイ料理には、4つの調理法と8つの味覚、『乾いた料理(ヘン)』『水っぽい料理(ナム)』という区分があります。加えて、3つの季節や5つの地域によって採れる食材も違います。これらをうまく組み合わせ、伝統を守ることが、この店の使命ですね」

ただ、伝統だけにとらわれず、調理法や素材など時代ごとに移り変わるイノベイティブな要素を、料理に加えるのがシェフのこだわり。

「伝統と革新。両要素を50%ずつ融合させることで、外国から来た旅行者はもちろん、タイ料理を食べ慣れた人々にも、常に斬新で驚きある味を提供できるように心がけています」

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左:2018年にオープンした高級感ある広々とした店内。使われる食器もセラドン焼やベンジャロン焼などタイの焼き物が多数。 右:幼少期から家業の飲食店を手伝ってきたというシェフ。18歳からデンマークやベルギー、フランスなどで海外修業を経験。

●131 Sukhumvit Soi 53, Khlong Tan Nuea, Watthana, Bangkok
TEL:0-2059-0433 営業時間:18時〜23時
無休 www.r-haan.com

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ジラカーン・レストラン

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タイの古典『プラ・アパイマニー』に登場する料理も入った「前菜4種盛り合わせ」。506バーツ(すべて税・サービス料込)

小説や歴史書から読み解いた、1000年前の“原点”を味わう

世界各地からの人の往来に伴い、近年変化を遂げるタイの食文化。これに対して、小説や歴史書をひも解いて、過去のタイ料理の原点に立ち返ろうと試みるのが「ジラカーン・レストラン」だ。同店では、1200年前から100年前までに食べられていたタイ料理を、現代の味覚にアレンジして提供。オーナーのトリプラダップ‘プイ’ワンウォンウィワットはその意義をこう語る。

「タイ料理は、統治者や外国などの影響を受け、時代ごとに変化しています。各料理にまつわる背景や歴史を知ることで、タイの料理をもっと楽しんでもらおうと、この店を始めました」

たとえば、タイでスタンダードな料理のひとつである揚げ春巻きは、中国の影響を強く受けていたラーマ4世の時代に誕生したといわれる。この頃からタイ料理に油が使われるようになり、揚げ物料理が一般的になったとの逸話もある。数々の料理を、背景にあるストーリーとともに味わいつつ、タイの食文化を遡ってみては。

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左:アットホームな雰囲気が漂う店内。プイが集めた1冊100万円近い希少本も多数並んでいる。 右:オーナーのプイ(左)と、かつてガガン・アナンドのもとで6年間修業を積んだトップシェフのポーンプロム‘プロ’ラオマナッサク(右)。プイが何百冊にものぼる文献から探した料理を、プロがモダンにアレンジすることで唯一無二の料理が完成する。

●76 Sukhumvit Soi 49, Khlong Tan Nuea, Watthana, Bangkok
TEL:08-2615-5664 営業時間:11時〜23時
無休 www.facebook.com/Jirakaan

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ガガン・アナンド

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グリーンアスパラをスライスし、レモンゼリーやアスパラのメレンゲとともに花に見立てた一皿。 下右:ヨーグルトに、炭酸ガスを封じた飴を合わせた。口の中ではじけるパチパチとした食感には、誰しも驚くはず。器は有田焼を使用。

奇才のインド人シェフが生む、驚きあふれるガストロノミー

バンコクの食の多国籍化を語る上で、外せない存在。それは、アジアトップにも君臨したインド人シェフであるガガン・アナンドが、自らの名を冠した同店だ。ガストロノミーに精通するガガンによるプログレッシブ・インド料理は、料理法や素材はもちろん、提供するタイミング、照明、音楽、食器にもこだわり抜いた一品ばかり。「すべての料理にサプライズを」というコンセプトの通り、25品あるコース料理の数々は、どれも五感で驚きを感じさせてくれる。

他の追随を許さない独創的な料理が生まれる理由のひとつは、定期的に世界各国でコラボを行っているからこそ。あくまでインド料理をベースにしているものの、シェフやスタッフが国内外で得た知見を活かし、タイをはじめ、日本やヨーロッパの食材や調理法、器などの要素をボーダーレスに料理に取り入れ続けている。バンコクのみならず、世界最先端の食のトレンドを知る上で、欠かせない店といえそうだ。

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左:小動物の脳をイメージしたホワイトコーンのパンナコッタ。血に見立てたのはビーツのソースだ。料理は25品のコースのみ。14,124バーツ(税・サービス料込) 右:2階はシェフが新たに開いたインド・メキシカン料理「ミズ・マリア&ミスター・シン」。同店も「アジアのベストレストラン50」入り。

●68 Sukhumvit Soi 31, Khlong Tan Nuea, Watthana, Bangkok
TEL:09-8883-1022 営業時間:17時30分〜、21時〜の2部制
休:月〜水 https://gaggan.com

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オホ・バンコク

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伝統料理「ペスカード・サランデアード」は白身魚を香辛料でグリル。2,118バーツ(税・サービス料込)

バンコク1の超高層階で食す、メキシカン・キュイジーヌ

バンコクのランドマークである「キングパワー・マハナコーン」。その76階に入るのが、現在、タイで最高層階のレストラン「オホ・バンコク」だ。同店を率いるメキシコ人シェフのフランシスコ・パコ・ルアノの料理は、どれもタイの食材を余すところなく活用したものばかりだという。

「近年、バンコクにメキシコ料理店が増えていますが、それは豊かな風味と新鮮な食材を用いるメキシコ料理が、タイ人の味覚に合うからでしょう。実際タイの食材の多くは、私の故郷であるグアダラハラの食材によく似ています」

バンコク1の夜景と楽しむ、タイの食材を詰め込んだメキシカン。ここでしか食べられないユニークな味わいを、存分に堪能したい。

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左:ヤングコーンに山羊のチーズ・ペコリーノをかけた「エスキーテス」。459バーツ(税・サービス料込)  右:開放的な店内。ランチ・ディナーともに一定額以上の注文で、最上階のスカイウォークを無料で利用可能。

●The Standard, Bangkok Mahanakhon 76F, 114 Narathiwas Rd, Silom, Bang Rak, Bangkok
TEL:0-2085-8888
営業時間:11時30分〜14時30分、17時30分〜深夜 無休www.standardhotels.com/bangkok/features/ojo-bkk

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ザ・ホワイトハウス・バンコク

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ラトビア産の野生トナカイ肉のグリル。1,294バーツ(税・サービス料込)

トナカイ肉やキャビアなど、ラトビアの自然の恵みを堪能

バルト海に面するラトビア。現地からもち込んだ、野生のトナカイの肉やキャビアなどの希少な食材を使った料理が食べられる、バンコクでも珍しいレストランが登場。ラトビア人シェフのアレクサンドル・ナシカロフスは、世界各地で料理修業した後、数年前からバンコクに魅了され、店をオープンしたのだと語る。

「ラトビアは多くの国に何度も占領された歴史をもつため、伝統的料理自体は非常に少ないんです。でも、野菜やハーブも豊富だし、野生動物もいるし、バルト海では魚も獲れます。多国籍な人々が集まるバンコクだからこそ、知られざるラトビアの豊かな自然の恵みを、料理というフィルターを通して表現していきたいですね」

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左:ロール状のポテトにサーモンとサワークリームを入れ、イクラをのせて。フィンガーフードセットの一品。976バーツ(税・サービス料込) 右:生バンドの演奏が入ることもある店内。

●199/8 Sukhumvit Soi 16, Khlong Toei, Bangkok
TEL:09-7694-9898
営業時間:18時〜23時 休:月、火 
https://thewhitehousebkk.com

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