受け継がれるアメリカン・フォークロア!? 人に寄り添う...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第114回 CADILLAC XT6 / キャデラック XT6

受け継がれるアメリカン・フォークロア!? 人に寄り添うSUV、キャデラック XT6とは。

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー・カマロ改。手に入れて10年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

キャデラック XTシリーズの旗艦モデルとなるXT6。

待ち望んでいたキャデラックの大型SUV、XT6に乗った。シャシーをXT5と共有し、座席を3列シートにすることで乗車定員は6人になった。乗ってみると、これだけ優雅で気の利いた大型SUVが800万円強で買える(エントリーモデル)という、コスパの高さに唸らせられたね。

まずそのデザイン性に、惚れぼれするでしょ。キャデラックらしい、どんなライバル車にも引けを取らない存在感と、よく見ると精緻で繊細な意図を感じさせるエクステリア。水平基調のフロントフェイスは塊感の中に鋭くエッジを効かせていて、カーデザインと言うよりも建築的な意匠を感じさせる。写真を撮ればわかるけど、どのアングルから見ても線とプロポーションに無駄がないのね。被写体として完璧。もうSUVのデヴィッド・ボウイか、キム・カーダシアンかってなもんですよ(笑)。ロングホイールベースで高さもあり、フルサイズの大型SUVを愛する人ならスルーできないオーラがあるんだ。

フルサイズという意味ではキャデラックにはエスカレードがあるけど、XT6はスタイリングも乗り味も別ブランドと思えるぐらいにコンシャス。それでいてやっぱり「マイ・キャデラック」と呼びたい“マイメン”感もしっかりある。

走らせてみると、アクセルにトルクがよく付くターボ車のような軽快さが心地よい。それでいて静粛性が抜群で、よく回るV6の自然吸気エンジンとの組み合わせがしっくりフィットしている。ゼネラルモーターズのV6エンジンは、どうしてもV8のOHVエンジンに比べると格下感が否めなかったけど、XT6はこのV6エンジンでしかありえないプロダクトとして成立しているのね。

ドンと踏めば、車重を感じさせない胸のすく加速感。これでも十分だけど、あえてこの方向性で走りのグレードを上げるとしたら、ライバルのリンカーン アビエーター(日本未発売)のようにPHEV化して、モーターの付加価値を付ける他ない。そもそもV8エンジンが期待されないフルサイズのSUVは、いい意味で期待を裏切られるわけ。この驚きを最近の音楽シーンでたとえるなら、シンガーソングライターのテイラー・スウィフトの新譜『フォークロア』みたいな感じかな(笑)。

『フォークロア』はハートフルかつ地に足の着いたアルバムで、ポップスでもカントリーでもなく、ファンの期待をいい意味で裏切っているのね。アメリカのシンガーソングライティング文化の伝承(フォークロア)という意味でも、XT6のさまざまなお役立ち機能とともに、キャデラック本来のマインドとも重なっている気がする。個人に、そっと寄り添ってくるんだよね。

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