超高精細の映像で体感する、圧倒的没入感。
青野 豊・写真
photographs by Yutaka Aono

超高精細の映像で体感する、圧倒的没入感。

4K(3840×2160画素)を遥かに越える8K(7680×4320画素)テレビがついに。60型、実勢価格¥750,000(税込)

新4K/8K衛星放送に対応したテレビの新製品が各社から発売されているが、いま世界で8K放送が受信できるテレビは、シャープの本製品のみ。他メーカーはすべて4K止まりで、これだけが4K/8Kの全チャンネル視聴が可能だ。私は4Kもさることながら、8Kこそ、大袈裟でなく人類が発明した最高の映像メディアだと思う。1980年代にAVという文化が誕生して以来の究極の映像といえるだろう。
8K映像のポイントは①臨場感。大きな画面に近づけば、映像から生々しい現場感覚とリアリティを痛切に感じる。②実物感。質感再現が圧倒的であり、映るものがまるで本物のよう。③立体感。3Dメガネをかけずとも、あまりに精細なので裸眼で擬似的な立体感が味わえる。
私は放送開始の昨年12月1日に向けて、BSアンテナを新調し、シャープの8Kテレビを導入。専用のHDDにすべての8K番組を録画し、毎日再生して楽しんでいる。
実際に8K番組を観ると、映画や紀行、ドラマ、音楽などあらゆる分野のコンテンツが断然、魅力的になる。昨年12月に放映されたSF映画『2001年宇宙の旅』。オリジナルの65ミリネガフィルムからひとコマずつ8Kにスキャンした映像は圧倒的だった。デザイン、色彩、質感……あらゆる部分にキューブリック監督が出した指示とはこれなのかと目を見張った。宇宙船表面のディテールの生々しさ、内部の細やかさ、時空移動の不気味な色彩感など……監督の思いがこれほど深いことを、そのディテールから初めて知った。
8Kでは、芸術をリアルに鑑賞できる。典型がネルソンス指揮ウィーン・フィルのベートーヴェン「第九交響曲」。派遣されたNHKの8K中継車が、ウィーンの楽友協会大ホールで撮影したライブだ。細部までの切れ込みとウィーン・フィルならではの豊潤さが両立した音が聴け、映像は細部の質感が豊かで鮮鋭。演奏が進むにつれ、熱気で出る汗が楽器にしたたり落ちる。楽譜がクリアに読め、画面を見ながら演奏できそうだ。弦楽器の飴色にのる、反射のシャープさ。細部まで彫塑するネルソンスの音楽指向と、徹底的に細部を描く映像が見事にマッチしていた。
当然、4Kも2Kも受信でき、8K画素までアップコンバートして表示する。実はこの動作はとても難しい。2Kを8Kに上げるといっても情報量は元と同じだからボケが増える懸念がある。そこをシャープは「細線化処理」で乗りきった。つまり輪郭を太らせない特別な技術だ。もともと解像力の高い2K番組なら、16倍の画素差も乗り越えてしっかりとした鮮鋭感を見せてくれる。
憧れの8Kを現実の映像として実現したシャープの努力に、拍手を贈りたい。

超高精細の映像で体感する、圧倒的没入感。

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麻倉怜士
デジタルメディア評論家。1950年生まれ。デジタルシーン全般の動向を常に見据えている。巧みな感性評価にファンも多い。近著に『高音質保証!麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。

シャープお客様相談室 TEL:0570-550-113

※Pen本誌より転載
超高精細の映像で体感する、圧倒的没入感。