4K映像の美を最大限に映し出す、本命プレーヤー

  • 文:麻倉怜士

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青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

4K映像の美を最大限に映し出す、本命プレーヤー

ディスクの回転によって生じる振動ノイズを遮断する、堅牢な筐体。実勢価格¥180,000

パイオニアブランド初のUHDBD(Ultra HD Blu-ray Disc)プレーヤーが登場した。これまで数社がUHDBDプレーヤーを出していたものの、「本命はパイオニア」だと心待ちにしていたユーザーは多い。古くからのオーディオ・ビジュアルファンは、パイオニアが新規格のディスク・プレーヤーをつくったというニュースに心がときめいたはずだ。
1980年代初頭の「絵の出るレコード」(当時はそう謳われていた)のレーザーディスク(LD)以降、DVD、ブルーレイ・ディスク(BD)と光ディスクの本命プレーヤーはパイオニア製品で決まり、というのがマニアの間の常識であった。なぜなら、そこには光ディスクを知り尽くしたプロフェッショナルたちのノウハウが詰まっているからだ。
そもそも、光ディスクの光輝く奥にどんなクオリティの映像、音声データが収載されているかは、制作者以外は誰も知らない。だからこそ、ディスクから最大限の画質・音質を引き出す技術力、ノウハウ、こだわりの三拍子が必要だ。パイオニアは、80年代のLDプレーヤー、90年代のDVDプレーヤー、そして2000年代のBDプレーヤーと、各光メディアで業界トップクオリティを誇ってきたのだから、新光メディア、UHDBDの新プレーヤーでも大きな期待がかかるのも当然だ。
パイオニアのプレーヤーづくりは、基本に忠実をもって旨とする。信号を汚す要因をあらゆる部分で徹底的に削減させることだ。まず筐体からの振動追放。揺れがあれば、映像と音声信号に悪い影響を与えるからだ。重心を下げ、剛性の高い底板の上に、ディスクメカニズムや回路、電源を置く。ディスク回転による振動や騒音には、「ディスクのパイオニア」としては特に気を使った。
ドライブメカは、頑丈なケースに収めた。このケースは制振効果が高く、しかも面はフラットでなくハニカム構造を採用したので、内部で発生するノイズの原因になる定在波を抑える働きをする。ディスクトレイ開口部からの音漏れを抑えるべく、ダンパーを取り付けたことも静音化・振動抑制に効いた。
光ディスクの開発ブランドとしての矜持をもち、長年にわたって蓄積したノウハウを投入した。だから、同じディスクでもパイオニアのプレーヤーで再生すると、他では見えない部分が見え、聞こえない音が聞こえてくる──とは大袈裟だが、明らかにパイオニアならではのよき個性が光る。UDP-LX500は特に、映像のグラデーション再現の細やかさが印象的である。透明感も高く、映像がクリアに見渡せる。音の充実度も高く、設計陣の心配りが感じられた。4K映像をディスクで楽しむハイクオリティプレーヤーの登場を喜びたい。

Ultra HD Blu-rayをはじめ、USBメモリや高音質のSACDなどさまざまなメディアの再生に対応する。

麻倉怜士
デジタルメディア評論家。1950年生まれ。デジタルシーン全般の動向を常に見据えている。巧みな感性評価にファンも多い。近著に『高音質保証!麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。
※Pen本誌より転載