ダサ格好いい、『アメリカン・グラフィティ』に登場する青...

ダサ格好いい、『アメリカン・グラフィティ』に登場する青二才たちが着ていた王道服。

文:小暮 昌弘 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤 成一
イラスト:Naoki Shoji

第1回 エンジニアド ガーメンツのマドラスシャツ

1962年の夏、あなたはどこにいましたか?……珠玉の青春映画として知られる『アメリカン・グラフィティ』(73年)のアメリカでの宣伝文句です。舞台は62年のカリフォルニア北部の地方都市。主人公はそこに住む高校生たち。卒業後の旅立ちを目前にした夕刻から夜明けまでの夏の一夜をグラフィティ(=落書き)のように綴った青春群像劇です。監督は、あの『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親、ジョージ・ルーカス。製作はフランシス・フォード・コッポラです。後に有名になるリチャード・ドレイファス、チャールズ・マーティン・スミス、ハリソン・フォードなどが出演。後に『アポロ13号』などの監督として大成するロン・ハワードも主役のひとりに名を連ねています。
彼らが身に着けているのは、ボタンダウンシャツにコットンパンツといったアイビーの王道スタイル、あるいはTシャツにジーンズといったロックンロールスタイル。映画全編に流れるオールディーズナンバーとともに、当時の“アメリカ”のファッションや風俗が見事に描かれた名画です。
今回は、そんな70年代の名画に登場したファッションアイテムを考えてみました。

ナビゲーター/小暮 昌弘
法政大学卒業。学生時代よりアパレルメーカーで勤務。1982年から(株)婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『Men’s Club』で主にファッションページを。2005年から2007年まで『Men’s Club』編集長。2009年よりフリーに。(株)LOST &FOUNDを設立。現在は、『Pen』『GQ』『Men’s Precious』などで作文を担当。

製品名は「Popover BD Shirt」。「エンジニアド ガーメンツ」の春夏コレクションの定番とも言えるボタンダウンシャツです。生地にはコットン100%のマドラスチェックが使われています。左胸にフラップ付きポケット、前立て下にはプリーツを入れ、このブランドらしいアレンジを加えています。¥29,160/エンジニアド ガーメンツ

ラジオ局のジングルが流れ、ネオンサインが輝く「メルズ・ドライブイン」が映し出されるオープニング。ジングルの後に流れるのがビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの『ロック・アラウンド・ザ・クロック』の胸踊るイントロです。そのドライブインは若者たちが集まるホットスポット。ベスパを乗るテリー(チャールズ・マーティン・スミス)に続いて、シトロエン 2CVを愛車にするカート(リチャード・ドレイファス)がやってきます。彼が着ているのが、アイビースタイルのマストアイテム、マドラスチェックのボタンダウンシャツです。
マドラスという素材は正式には「インディアマドラス」と呼ばれ、綿栽培が盛んだったインドで、ハンドメイドでゆっくりと織られた多色づかいのコットン生地がルーツ。柄は多彩にありますが、カートが着ていたチェック柄はブルーとイエローがミックスされ、白場を生かした絶妙な大柄のものでした。カートを演じたドレイファスは映画のメイキング映像で、「このシャツを使ってカメラマンはカラーバランスを測っていた」と話し、さらに「変な衣裳でした」と笑いながらコメントしています。
カートが着たマドラスシャツを彷彿とさせるのが、「エンジニアド ガーメンツ」のシャツです。大柄のマドラスチェック、ボタンダウンの襟、ショートスリーブ(=半袖)といったデザインは、まさにカートのシャツのようです。カートが着ていたのは、フルオープンタイプですが、「エンジニアド ガーメンツ」の場合は、よりアイビー的なプルオーバーのスタイルを採用しています。
クルーカットの髪型、ボトムスにコットンパンツとローテクスニーカーを合わせ、首元に白のクルーネックのTシャツを覗かせて、このシャツを裾出しで着こなせば、カートのようなアイビースタイルが完成します。

アイビースタイルの定番とも言えるマドラスチェックのボタンダウンを、プルオーバーでデザイン。前立ての下にプリーツが入っています。

「エンジニアド ガーメンツ」は、ニューヨーク在住の鈴木大器氏がデザインするブランドです。しかも、アイテムの多くをニューヨークなどのアメリカで製造しています。

映画の中でカートが着ていたマドラスシャツにも襟にバックボタンが付いていましたが、このシャツも同じ仕様を備えています。センタープリーツの上にはハンガーループ付き。これはハンガーに吊り下げるためのアイビー的なディテールです。

問い合わせ先/エンジニアド ガーメンツ TEL:03-6419-1798

ダサ格好いい、『アメリカン・グラフィティ』に登場する青...