仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グ...

仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グリーンバーガー」

仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グリーンバーガー」

2020年5月21日(木)に全国展開された、動物性食材を使わない「グリーンバーガー」。 ¥538(税別)

ウーバーイーツの爆速デリバリーでも人気が高まるモスバーガーから、面白いヴィーガンメニューが新登場と耳にして、さっそくチェックしてきました!
(東京、神奈川の9店舗では2020年3月から先行発売済み)


バーガーチェーンのモスバーガーに特別感を感じちゃうのは(ブランドといってもいい)、1990年代に人生でもっとも世の中から刺激を受けた世代ならではかもしれませんねえ。
ナイキがエアマックスで大ブレイクして、当時は斬新だったデジタルグラフィックの広告でも世界をリードした時代。
アップルは “かわいい” パソコンiMacを世に送り出し、家電の常識をことごとく過去に追いやり。
イギリスでは雑誌『デイズド&コンフューズド』『ウォールペーパー』が創刊して、ストリートファッションもインテリアもすべてが同じ立ち位置に。


誰もやらないことをやる尖ったクリエイティブに世間が熱狂した10年間ですが、この90年代に日本で革新的だったのが、無印良品とモスバーガー。
無印良品は文字通りアノニマスなモノトーンの家電製品で時代の寵児に。
モスバーガーは米で具材を挟むライスバーガーをリニューアルして大ヒットさせ(誕生は1987年)、バーガー業界に衝撃を。
日本発信のバーガーチェーンというだけで個性的なうえに、片手で食べられる “和食” を店に置くという発想の見事さたるや。
当時はコンビニおにぎりはマイナーでしたし、ミスタードーナツの飲茶も、ウェンディーズのパスタもなかったワケです。
その後の産地が見える野菜使いも時代に先駆けてました。
ジャンクフードの世界に異質なもの、さらに “ヘルシー”を持ち込んだ第一人者だったんですね。


そんなこんなでモスバーガーの動向はいまも気になります。
ただ、このたびの新製品「グリーンバーガー」を面白いと思ったのは、肉のパティでなく大豆ミートを使った「動物性食材不使用」だけが理由ではなく。
(単なるヴィーガンバーガーはもう珍しくありませんから)
なんと、仏教の原理主義では食べることが禁じられている、野菜5種類の五葷(ごくん)をも未使用だからなのです!

仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グリーンバーガー」

店内オーダーメニューの隅に大きく掲載が。

仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グリーンバーガー」

世田谷区のモスでテイクアウトして、近くの妙なベンチに載せてみました。

仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グリーンバーガー」

ぶわっと広がる、レタスてんこ盛りグリーンバーガー。緑色のバンズはほうれん草入り。

五葷とは、ねぎ、にんにく、にら、らっきょう、あさつきのこと。
(知らなかった……)
いわゆる“精がつく” 食材で、刺激物で臭気があることも敬虔な仏教の僧侶には敬遠されるようです。
これ、一般的には免疫力を上げ身体にいいとされるものばかり。
なので健康面だけが製品開発の軸ではないのでしょう。
日本の精進習慣を現代的に表したものといえそうです。


肝心の味は、おいしいですよ!
モスバーガーらしいトマトソース感満載。
肉のコクはないものの、
「よく野菜だけで旨味を出せたなあ。味をどの店も一定にしなきゃならないチェーン店なのに」
と思ってしまうクオリティ。


ただひとつ、モスさんにお願いしていいですか??
「フォークをつけましょう」
モスの伝統的な得意技といえば、そうです、
「食べにくい」
昔はそれでもほかより味がいいから食べたんですが、現代はエチケットに対する意識が変わりましたからね〜。
手が汚れるスナック菓子が、「スマホを触るから」という理由で売れなくなった時代です。


モスを人と一緒に食べるなら、かなり気心が知れた相手に限ります。
パーツがバラバラに崩れるバーガーを、顔の半分をソースでべちょべちょにして食らいつきつつ、
終盤には紙袋に顔を突っ込んで「ズズッ」と残った部分を吸い込む。
そんな姿を見せられる人としか一緒にいられなくて。
女性だとファンデーションにもベッタリですから化粧直しがイヤで敬遠するかもしれませんし、服を汚せないビジネスマンも昼食の選択肢から除くかも。
なんだかもったいないです。


フォークさえあれば、ひとまず私的にはOK。
袋に散らばった食材をかき集めてスムーズに口に運べますから。
店内には置いてあるのかもしれないですね、調べてなくてすみません。
(テイクアウトの袋には入っておらず)


近頃はフードチェーンのメニューがどこも、ホントにおいしくなりましたよね。
(ファッションもファストファッション出現以降、低価格でもパッと見お洒落な服が増え)
バーガーも海外の個性的な人気店がたくさん上陸し、高価格でも味の良さを求める人が増えて皆の舌が肥えました。
(“インスタ映え” で話題店に行く習慣も後押しして)
大手チェーン店のポジショニングがますます大変な時代と推察される中で、今回のグリーンバーガーは日常の気分をちょっとアゲてくれました。
庶民の生活を底上げする日本独自のクリエイティブに、これからも期待です!


写真 © 高橋一史

※この記事を紹介する目的以外の、まとめサイト、SNS、ブログなどへの写真の無断転載はご遠慮をお願いいたします。


from Creators記事一覧
www.pen-online.jp/creator