『Pen』の最新号、「ジョン・レノンを語れ！」が絶賛発売中です。私も参加させていただきました。取材では貴重な話をいろいろと伺わせていただき、感謝、感謝。ついつい読み込んでしまいますが、おまけで私も一言、語らせていただこうというのが今回のこのブログの趣旨です。

　2005年、私もリバプール、ロンドンをジョン・レノンというよりはビートルズを訪ねる旅をしてきました。『Pen』でも紹介されていますが、リバプールではジョンの生家であるメンディップスやストロベリーフィールド、キャバーン・クラブやペニーレーンなど。ロンドンではアビーロードをはじめ、ビートルズに因んで名所、ポール・マッカトニー の現在の邸宅を外から眺めるなども回りました。リバプールでは司馬遼太郎さんを案内したこともあるというビートルズの名ガイドさんの案内を受け、とても勉強になる旅だったと記憶しております。その時にリバプールで偶然見つけたのが、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴが4人で写ったこの写真です。リバプールにあるビートルズのミュージアム・ショップのような店で発見しました。これは見たことがないと思い悩んでいると、翌日には閉店すると言われ、購入を決断し、額入りだったので、ハンドキャリーで持ち帰りました。

　帰って、雑誌で紹介したいと思い、通信社に写真を見せて探してもらったら、それはどうやら広告用に1963年に撮られたもので、「Lybro  Jeans」というジーンズブランドの広告キャンペーンに使われたものということがわかりました。しかもこれがビートルズが初に広告出演で、ビートズルが広告に出ることはその後も稀。その時にはそのブランドはもう消滅したと聞きましたが、とある新宿の百貨店を散策していたら、ジーンズのラペルに「Lybro」の文字を発見しました。英国のデザイナー、ナイジェル・ケーボンが復刻させたようで、日本での名前は「ライブロ」。ジーンズだけでなく、オーバーオールやジャケットなど、多数がすでに揃っています。ちょっと調べましたら、「Lybro」は、1920年代に創業したワークウエアブランドで、ナイジェルも愛用していたブランドだそう。一説にはリバプール生まれともあり、もしかしたら、それが縁でビートルズが出演したのかもしれません。

　写真を観ると、ジーンズのデザインがどれも面白い。ウエスタンでもアメリカ人の創るジーンズとは違い、ポケットは「Lポケット」で、中にはパイピング付きのものも。裾を大きくロールアップさせ、ジョン（写真左）がはいているモデルがサイドにボタン付き。ジョージ（写真右）はロールアップしている部分にカーブしています。アメリカで生まれたウエスタンがニューヨークから大西洋を飛び越えて、リバプールにやってきたら、こうなったのでしょうか。

　我が家のリビングルームにかけてあるこの写真の下で、『Pen』の最新号を傍らにスマフォの記事を読んでいましたら、「ジル・サンダー」の最新コレクションがウエスタンをテーマにしているとありました。ナイスなタイミング。「ビームス」の春夏のテーマも確かウエスタン。ウエスタン、案外、来るかもしれません。それにしても、昔からよく知っているナイジェルは、ビートルズがはいたウエスタンジーンズのことを知っているのでしょうか。博物学者のような彼だから、「ああ、知っているよ」と言うかもしれません。今度会ったら、ぜひ聞いてみようと思っています。