日頃から嬉々として腕時計を手にする時計愛好家たちは、どうやって自分に似合う一本を選び、買っているのか。ファッション・ディレクター金子恵治の時計選びを訊いた。
さあ、街へ出よう。まだ知らない腕時計の魅力が、きっと見つかるはずだ。
特集『街に出よ、 腕時計を楽しもう』
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服装と調和を図る、端正な顔立ちに惹かれる
長年ファッションバイヤーとして活躍し、現在は自身のショップを構えるほか、数々のブランドをディレクションする金子恵治。その独自の感性には、腕時計と服を楽しむヒントがありそうだ。
「服装を解が『0』となる式と考えて、アイテムを『+』『−』で選びます。たとえば、カラフルな着こなしにはプレーンなデザインの腕時計を『−』として着ける。カジュアルな装いには歴史のあるブランドの名前を『+』として足すこともある。そうやって、腕時計が持つ特性を自分勝手に書き換えながら、着こなしを楽しむのにぴったりの2本を愛用しています」
左:ロレックス「エアキング」
右:カルティエ「サントス デュモン」

もともとスウェットやジーンズ、カバーオールなど道具として生まれたアイテムを好む金子。経験を経て好きなものが絞られたいま、腕時計にも道具的な役割を求めているのかもしれないと続ける。
「数年前までカルティエの『タンク』など、華やかさや繊細さを持つ腕時計を着けていたのですが、どこか自分のものになっていない感覚があり手放しました。それからよい意味で印象に強く残らず、手元にそっと寄り添ってくれるようなものを探すようになったんです」
まず目に留まったのはロレックス「エアキング」。50年代後半の一品だが、美しいミラーダイヤルは健在で、珍しいアルファ針はさりげない個性を主張する。しばらくして、70年代のカルティエ「サントス デュモン」にも出会う。
「タンクより武骨さを、エアキングよりドレス感を持つバランスのいい見た目に惹かれました。このふたつが揃えば、もう安心です」
