創造の現場でクリエイターたちとともに“時”を刻む腕時計。そこには、生き方の哲学と美意識が宿る。今回は、業界随一の洋服好きとして知られるフットボールアワーの岩尾望が登場。誌面で紹介したヴィンテージロレックスに加え、特別に2本を紹介してくれた。
2025年は腕時計の“名作”が改めてフォーカスされた1年であった。そして、名作と呼ばれる腕時計には、一つひとつの物語がある。時代を超えて受け継がれる100本の腕時計、その“物語”を読み解いていこう。
『未来へ受け継ぐ 名作腕時計、100の物語』
Pen 2025年12月号
岩尾 望 × ロレックス「プレシジョン」
何度見ても惚れ直す、UFOのような不思議な魅力
2024年の夏頃に知り合いとのなにげない会話から腕時計に興味を持った岩尾望。雑誌やWEBで調べるうちに欲が高まり、正規品、ヴィンテージを含め、去年だけで複数購入するほどハマったという。
「でもカジュアルなスポーツモデルやドレスウォッチを揃えたらある程度気持ちも満たされて、今年に入って時計熱はいったん落ち着いていました。そんな中でも習慣でヴィンテージをネットで見ていたら、ある日このロレックスを見て、久々にゾクっと来たんです」
それが、1960〜70年代の「プレシジョン」と呼ばれるヴィンテージウォッチ。店頭で実物を見て、さらに惹きつけられた。
「小ぶりだけど、シンプルな目盛りがついたベゼルやUFOみたいにぽこっと出ているドーム型のガラスはよい存在感がある。インデックスがない文字盤は、もともとブラウンだったけど経年変化で褪せてグレーっぽくなっているみたいで、色みが上品に感じて気に入りました。15年ぶりにやったフットボールアワーの単独ライブが終わったタイミングでもあったので、『単独がんばった記念』です」
結果、自身のコレクションの中で、仕事でもプライベートでもいちばん腕を飾る存在になった。
「これまで買ったヴィンテージはすごくカッコいいんだけど、そのぶん特徴的で漫才衣装のスーツの時はちょっと目立つかなと思って着けられなかった。その点、これはカッコいい+よく着けるだろうと思えるデザインで、時間を見るたびに『やっぱりカッコいいな〜』って気分が上がりますね」
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誌面で紹介しきれなかった、愛用時計コレクション
・パテック フィリップ「Ref.3633」
ヴィンテージウォッチのサイトでひと目惚れ。すぐにソールドしてしまい気になっていたところ、たまたま海外通販サイトで運命の再会を果たした。約3週間かけてイタリアから手元に。
「黒い文字盤に波打っているゴールドのフレームが自分には新鮮で、しゃれてるなって。インデックスもないし、正直何時かわかりづらいけど(笑)、アクセサリー感覚で着けたいと思ったんです。初めて時計に対して『美しい』と感じた一本ですね」
・パテック フィリップ「Ref.3543/2」
「去年(2024年)、誕生日を理由に、自分へのプレゼントとして買いました。フェイスもベルトもすべてゴールドだけど、“キンキン”してないマットな質感で普段も着けやすい。パテック フィリップ特有のオーラみたいなものを感じて、見た時にすぐときめきました」
こちらは日本のヴィンテージショップで購入。装飾を抑えたシンプルな文字盤や一枚の素材に見える一体型のメッシュブレスレットによる、控えめな品のよさが気に入っている。
