【チュートリアル徳井義実の愛用時計5本】祖父の形見から、普段づかいのパイロットウォッチまで

  • 写真:丸益功紀(BOIL)
  • 文:青山 鼓
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創造の現場でクリエイターたちとともに“時”を刻む腕時計。そこには、日々をどう生きるかという哲学と美意識が宿っている。今回語ってくれたのは、家電からカメラ、キャンプなど多彩な趣味を持つチュートリアル・徳井義実。腕時計好きとしても知られ、さまざまな時計を手にしてきた彼に、誌面で紹介した2本に加えて特別に3本の愛用時計コレクションを紹介してもらった。

2025年は腕時計の“名作”が改めてフォーカスされた1年であった。そして、名作と呼ばれる腕時計には、一つひとつの物語がある。時代を超えて受け継がれる100本の腕時計、その“物語”を読み解いていこう。

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徳井義実 × キングセイコー「J14102E」、IWC シャフハウゼン「パイロット・ウォッチ マーク15」

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徳井義実●お笑い芸人。1975年、京都府出身。お笑いコンビ、チュートリアルのボケ担当。YouTubeではキャンプやギア、カメラ談義を披露。腕時計好きとしてIWCやヴィンテージに目がなく、サイズ感には人一倍こだわる。

動かないのに手放せない、腕時計と美意識 

「オーバーホールに出したのにすぐ止まったんですよ。謎です」

徳井義実が苦笑いしながら見せてくれたのは、祖父の形見として受け取ったキングセイコー。1960年代の一本で、文字盤の針は動いていない。「何万円も払ったのになぁ」と頬をゆるめながらぼやく。

99歳で亡くなった祖父の部屋に残されていたのは、眼鏡とこの腕時計。ふたつのみだったそうだ。男が人生の最後に選んだ道具がこれだけというのは、なんという潔さだろう。見るための道具と、時を知るための道具。それ以外なにもいらないという美意識に、徳井の心が震えた。

「動かないですが、この時計は手放せない。むしろ動かないことがいいとすら思いますね」

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「J14102E」(右)、「パイロット・ウォッチ マーク15」(左)

実はかなりの腕時計好きである徳井。新作にヴィンテージ、さまざま手にしてきたが、とりわけ惚れ込んだのがIWCのパイロット・ウォッチ。なかでも「マーク15」は別格。10年以上愛用している。

「強い意志を感じる、このシンプルさが好きですね」

36㎜のケースは自分の手首にちょうどいいサイズ感。祖父が眼鏡と腕時計だけを残したように、徳井にとって「マーク15」は最後まで持っていたい一本になるかもしれない。派手な複雑機構はない、宝飾的な装飾もない。ただ時を刻み、腕に収まればいい。

未来に残したい腕時計とは、世代を超えて受け継がれる美意識そのものかもしれない。止まったままのキングセイコーと、時を刻む「マーク15」。徳井の2本は、男たちの美学をつないでいく。

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誌面で紹介しきれなかった、愛用時計コレクション

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左から、セイコー「プロスペックス ダイバーズ」、オメガ「コンステレーション」、オメガ「シーマスター 120」

・セイコー「プロスペックス ダイバーズ」

沖縄を旅した際、ふらりと立ち寄ったショップで出会った一本。軽くてタフ、海でも街でも使える頼もしさが魅力だという。防水性や精度よりも、「気にせず使える安心感が自分には合っている」と話す。夏の相棒として、いちばん稼働率が高いモデル。

・オメガ「コンステレーション」

1960年代製のヴィンテージ。放射仕上げのシャンパン文字盤と肉厚のゴールドケースに惹かれて購入。スーツにも馴染み、クラシックなのに古く見えない。派手さより“時間を重ねてきた表情”に惹かれるという徳井らしいモデル。時計好きとしての趣味が成熟してきた頃の選択。

・オメガ「シーマスター 120」

ダイバーズの原点的なモデル。経年で焼けたインデックスや風防のゆらぎが味わいを増し、どこか無骨で色気がある。徳井は「機能より雰囲気。理屈じゃなく、腕につけたときのバランスが気持ちいい」と語る。デニムにもレザージャケットにも自然に馴染む、ヴィンテージ好きの心を映す一本。

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