キュレーション的発想でディオールの新時代を切り開く、ジョナサン・アンダーソン【2026年注目のデザイナー&ディレクター】

  • 写真:岡本充男(モデル)、青木和也
  • スタイリング:壽村太一
  • ヘア:河村慎也 (modʼs hair)
  • 編集&文:上野ルミ
Share:

かつてないほど活発にファッション界が動いている2026年。誰がどのブランドに移り、どのようなコレクションを発表したのか?注目の最旬コレクションとともに、彼らのクリエイションを紐解く。

2026年、ファッション界において、激動とも言える時代が到来した。デザイナー、ディレクターの交代が続く中、各メゾンのクリエイションは日々更新され、伝統と革新が交差する新たな世界が生まれつつある。今回は、各ブランドの服づくりを担うデザイナー、クリエイティブ・ディレクターたちを紐解き、いま手に入れたいアイテムを紹介。 彼らが生み出す“新たな伝統”を見逃すな。

『2026春夏ファッション特集 デザイナー&ディレクターファイル2026』 ¥880
Pen 2026年5月号
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら

 

FB-2.jpg
ジョナサン・アンダーソン●1984年、北アイルランド生まれ。2008年JW アンダーソンをメンズウエアでデビュー。13年ロエベのクリエイティブ・ディレクター就任。クラフトとアートの熱心なサポーターであり、23年JW アンダーソン コレクション ファンドを設立。25年ディオールのすべてのラインのクリエイティブ ディレクターに就任。

2005年 ロンドン・カレッジ・オブ ・ファッション卒業 
2008年 JW アンダーソンをメンズウエアでデビュー 
2010年 ウイメンズのカプセルコレクション発表 
2013年 ロエベのクリエイティブ・ディレクター就任 
2015年 英国ファッション協会デザイナー・オブ・ザ・イヤーのメンズ、ウイメンズ両方の初の受賞者となる 
2017年 ユニクロとコラボレーションスタート 
2025年 ディオールのクリエイティブ ディレクター就任

ジョナサン・アンダーソン による「ディオール」

FB-1.jpg
ジョナサン・アンダーソンがファーストルックで発表したのは、クリスチャン・ディオールが1940年代に発表した「バー」ジャケット。それをアンダーソンのルーツである北アイルランドのドネガルツイードで表現した。芯地には馬毛を用いて立体的な美しいフォルムを描き出している。芯地に馬毛を用いるのは初めてのことという。パンツはクチュールドレスがベースのカーゴパンツ。ジャケット¥950,000、パンツ¥740,000、ネックバンド¥135,000、ソックス¥32,000、サンダル¥165,000

クリエイションの源、それはメゾンへの深い愛

1946年にクリスチャン・ディオールが創設したディオール。今シーズンからメンズとウイメンズ、そしてオートクチュールまでジョナサン・アンダーソンがすべてひとりで手掛ける。実にムッシュ ディオール以来の快挙である。

18世紀のスタイルに憧れを抱いていたムッシュ ディオール。そしてアンダーソンが思い描く理想の男性像は、パリ左岸の“学生”のスタイル。革命期のケープにカジュアルなシャツやデニムを合わせ、貴族的なストールにジャージーを合わせるといったふたつの要素の融合は、彼にしかできないキュレーション的発想といえる。

ファーストルックにアンダーソンが選んだのは、ディオールのアイコンである「バー」ジャケットとカーゴパンツ。「バー」ジャケットは彼のルーツである北アイルランドのドネガルツイード製。パンツはアンダーソンのお気に入り、ムッシュのオートクチュールドレス「デルフト」をカーゴパンツに落とし込んだもの。両サイドに折り畳まれた圧巻のドレープ、生地は7.5mにもおよぶ。メゾンのヘリテージとアンダーソンのルーツを結び付けた、まさにファーストルックにふさわしい提案だ。

もちろん、アトリエのオートクチュール技術があるからこそ実現できたもの。アンダーソンはファーストコレクションに、40年代にムッシュの下で働いていたというおばあちゃんクチュリエを招待した。ムッシュ、そしてアトリエのクチュリエたちへの深い愛とリスペクト。こうして唯一無二、アンダーソンだけのディオールが羽ばたいていく。

FB-3.jpg

サヴィルロウで自身のスーツを仕立てていたというムッシュ ディオール。メンズのスーツ専用だった千鳥格子を、ウイメンズのオートクチュールに初めて採用したのがムッシュだった。千鳥格子のニットはアンダーソンからムッシュへのラブコール。¥220,000

 

FB-4.jpg
マウンテンシューズからインスピレーションを受けた「ディオール ローディー」。丸いノーズが特徴的。コレクション以来、アンダーソン本人も愛用中だ。ヌバック、スエード、キャンバス、異なる素材を用いている。¥170,000

 

FB-5.jpg
「ディオール ブックトート」が「ブック カバーズ」という新バージョンで登場。『ドラキュラ』の初版本のカバーがモチーフで、原作者ブラム・ストーカーはアンダーソンがダブリンに住んでいた頃、家の近くに石碑があったことから。そんなパーソナルストーリーが込められている。バッグ(H36×W31.5×D14cm)¥510,000

クリスチャン ディオール

TEL:0120-02-1947

関連記事

Pen0327売_表紙_RGB.jpg

 

『2026春夏ファッション特集 デザイナー&ディレクターファイル2026』 ¥990
Pen 2026年5月号
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら