世界には思わず立ち止まり、二度見してしまう“とんでもない本屋”が存在する。今回はPen Onlineの連載「世界のデザインニュース」から、本好きに人生で一度は行ってみたい、個性豊かな3つの書店を厳選。
①温室のような“透明ブックハウス”|「ラ・リブレリア」
イタリアのヴェネチアで開催される国際的な芸術の祭「ヴェネチア・ビエンナーレ」の会場に現れた「ラ・リブレリア」は、一見すると温室のような仮設建築。しかしその正体は、光に満ちた書店だ。建物は透明な繊維素材で覆われ、壁という境界をほとんど持たない。内部には自然光が降り注ぎ、木々の下で本を選ぶような感覚が生まれる。夜になると建物はランタンのように発光し、読書そのものが風景になる。さらにこの書店は分解・移動が可能で、世界各地を巡る“移動式図書館”としての役割も想定されている。
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②中国最大級の“知のランドマーク”|「武漢図書館」
中国・武漢で建設が進む新中央図書館は、「百湖の都」と呼ばれるこの都市の地理をそのまま建築へと翻訳したプロジェクトだ。設計を手がけたのはMVRDVとUAD。長江と漢江、ふたつの川が交わる都市構造をモチーフに、建物は流れるような曲線で構成されている。内部には、峡谷の地形を思わせる段状のテラスと書架が連なり、“本の峡谷”と呼びたくなるダイナミックな空間が広がる。さらに3つの大きな窓が都市の風景を切り取り、スカイラインや公園、広場のにぎわいを内部へと引き込む設計だ。総床面積約14万㎡というスケールに加え、環境配慮型の設計も徹底されている。ここは単なる図書館ではなく、都市の知が交わる新しい「合流点」だ。
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③高さ280mの断崖に張り付く|「綿花天坑書店」
中国の山間部に現れた「綿花天坑書店」は、深さ280メートルの巨大な陥没穴の縁に張り付くように建てられた。片側は本棚、もう片側は奈落へと開かれた大自然。ガラスもなく、空間はそのまま外界と接続されている。訪れる人は、圧倒的なスケールとわずかな緊張感の中で本を選ぶことになる。2025年のオープンからわずか数ヶ月で10万人が訪れたこの場所は、もはや観光地であり、同時に唯一無二の読書空間でもある。
次に旅するなら、どこへ行くか。その選択肢に“本屋”が入ってきてもいいのではないだろうか。