いま注目すべき腕時計をデザインの視点から切る、雑誌『Pen』で好評連載中の「並木教授の腕時計デザイン講義」。今回のテーマは「ローズゴールドブレスレット×ブラウンダイヤル」。2025年のトレンドカラーであるブラウンをダイヤルに纏った、時計界のトップブランドが打ち出す“ゴールドブレスレットウォッチ”に注目!

ローズゴールドにブラウンダイヤルを組み合わせたブレスレットウォッチは、21世紀が生んだ“大人の発明”だ。高級感やステイタスの押し出しよりも、上品なまとまりの中で大人の風格を醸し出す。時計界のトップブランドが打ち出すローズゴールド&ブラウンは、シックこの上ない演出である。
近年の流行のように思えるローズゴールドやピンクゴールド、つまりは赤みの強い金だが、実は19世紀に最初に人気を博した。当時の帝政ロシア発で、その発信源はイースターエッグをモチーフにした宝飾で名高いファベルジュだと言われている。銅を配合したローズゴールドのジュエリーは、20世紀初頭まで欧州で流行を続けた後、白色金属を多用するアールデコの登場でピークアウトする。
腕時計ではその後も使われ、特にアジア系の肌色には似合うと定評はあったが、はっきりとブームが再燃したのは2016年。ローズゴールドの色みに近い「ローズクオーツ」が、パントン社が毎年発表するカラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことで、ファッションからプロダクトまで、トレンドカラーとして人気となった。そしてパントンが2025年の“今年の色”に選んだのがブラウン系の「モカ・ムース」。温かみのあるブラウンカラーをダイヤルに得た、ゴールドブレスレットウォッチは、間違いなく最新トレンドなのである。クワイエットラグジュアリーが浸透する中で、このコンビは華やかさを添えつつも、決してこれみよがしにならない、大人の品を魅せるのだ。
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1.PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)
CUBITUS Ref.7128/1R
昨年、25年ぶりに登場した新コレクション「CUBITUS」のラインアップが拡充。その新作は、サンバースト仕上げと水平エンボス加工を組み合わせた特徴的なダイヤルを、シックなブラウンで彩った。18Kローズゴールド製ケースには、交互にサテンブラッシュ仕上げとポリッシュ仕上げを施し、美しいコントラストを描く。
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2.LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)
タンブール オトマティック ローズゴールド
ローズゴールドのメタルブレスレットと薄型ケースが一体化した、シックでスポーティな「タンブール」。温かみのあるブラウンの文字盤は部分ごとに異なる仕上げが施され、センターサークルは縦方向のヘアラインを、その外周はラメを入れたようなマットな質感で絶妙な輝きを見せる。スモールセコンドと最外周は高低差をつけ、より奥行きのある表現になっている。
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3.BVLGARI(ブルガリ)
オクト フィニッシモ
ブルガリが誇る薄型ウォッチが上品なブラウン×ゴールドを纏って登場。厚さわずか2.23㎜という世界最薄レベルの自動巻きムーブメントを搭載し、ケースの厚みも6.40㎜に抑えている。マットな質感のサテンポリッシュ仕上げのケースとブレスレットに加え、サンレイパターンが美しく煌めくブラウンのラッカー仕上げダイヤルで、華やかさを備えながら落ち着いた印象も与える。



