扇風機やトースターなど体験価値を重視したプロダクトで知られるバルミューダが、旗艦店BALMUDA The Store Aoyamaで特別なイベント『life is creative.』を開催。この秋に登場したLEDランタン「セーリングランタン」や新モデルとなった加湿器「レイン」がついにお披露目となった。
さらに初の試みとして、バルミューダのものづくりの裏側を伝える品々も公開。製品の分解展示や開発者自らが語る製品ストーリーに接し、ブランドの哲学に迫る貴重な機会となった。
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元Appleチーフデザインオフィサーの手掛けたランタンが初のお披露目
この場が初公開となる「セーリングランタン」は、元アップルの最高デザイン責任者(CDO)であるサー・ジョニー・アイブが創設したLoveFromとの共同開発。バルミューダ製品にシンパシーを感じていたジョニーからのアプローチで始まった企画だ。
磨き上げられたステンレスと精緻に研磨されたガラスの組み合わせに、ゴールドカラーのメッキ部分が華を添える。素手で触れることすらためらわれる美しさだが、あくまでジョニー自身が航海用ヨットに吊るして使うことを想定して作られた“道具”である。その意向により、会場には誰もが自由に触れられる実機も用意されていた。
見逃せないのは分解展示だ。高級腕時計のケースのごとく磨かれたステンレスの筐体は、機械で削りだしたあと、さらに表面を人の手で研磨しているという。加えて内部の電子基板、そしてバッテリーのケーブルやコネクタに至るまでカラーを統一するLoveFormの徹底ぶりも圧巻だ。
ユーザーが決して目にすることのない部分にまで妥協を許さないLoveFromの姿勢には、バルミューダの担当者さえも唸ったという。
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バルミューダのものづくりの哲学を体感
“壺”がモチーフの「レイン」は、水を直接注ぎ入れられるタンクレス構造で有名な加湿器。12年を経て新モデルが登場した。デザイン検討用のモックアップが並び、開発者の思考を追体験できる展示となっていた。
開発担当者から熱のこもった開発ストーリーを聞くと、バルミューダ製品の放つ魅力がみるみる具体化・言語化され、その世界に引き込まれていく。
上部は水の注ぎ口も兼ね、円形の4インチディスプレイを搭載。よりリッチな表現が可能となったことから、本体の光や環境音を組み合わせたリラックス機能「アンビエントタイム」を新搭載。基本となる加湿性能も従来機より向上させつつ、さらに心理的なうるおいまでも提供する、バルミューダ流の“粋”が表現されていた。
バルミューダ製品に通底する合言葉は「体験価値」。おいしいトーストを食べた経験を、誰もがおいしいトーストを焼けるトースターを提供することで世界に広める。これが体験の提供だ。
画期的なスチームテクノロジーと緻密な温度制御によって生まれた「バルミューダ ザ・トースター」の開発では、膨大な数のトーストを実際に焼き、試食の印象をデータとして記録した。その記録ノートをめくると、バルミューダのスタイリッシュなイメージの内面に秘められた、愚直なほどの苦労がにじみ出ていた。


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美しさだけでなく“強さ”も感じたイベント
深いこだわりや開発ストーリー。会場で聞いた言葉に、どんなカタログや記事にもない“生”な感覚があったのは、他ならぬ社員自らが語るからだった。聞くほどに興味深いエピソードの数々に引き込まれた。
“心から欲しいと思ったものを作る”という姿勢を貫き、創業20年を超えたバルミューダ。こうしたイベントを企画・開催できることこそ、社内のものづくり哲学が日頃から一貫していることの現れだろう。そんな彼らの信念的な“強さ”に接し、製品への愛着がより一層深まるイベントだった。
※イベントは10月24日~11月9日で開催されており、既に終了しております。
