ヴァンクリーフ＆アーペル独自の世界観で彩る、「ポエティックコンプリケーション」の創造性

時計製造とサヴォアフェールが融合する「ポエティックコンプリケーション」は、愛、天体、自然、そして妖精とバレリーナというテーマのもとで詩情を紡ぐ。代表的な作品とともに、それぞれの物語を見てみよう。

Love Stories［愛の物語］
季節や時間で異なる表情を見せる、橋の上で刻むふたりだけの物語

**レディアーペルポンデザムルーオーブウォッチ**／ダブルレトログラード機構を搭載し、男女それぞれが持つ傘と一輪のバラの先端で時分を表示する。正午と真夜中にキスを交わし、その状態で3分間静止後、経過時間を換算した正確な時刻位置に戻る｡夜明け、朝、夕暮れ、月明かりという異なる時間を描く、今年発表の「ポンデザムルー」４部作のうちのひとつで、太陽が街を照らす夜明け（オーブ）を表現した。ブレスレットはストラップにも交換可能。自動巻き、18KRGケース＆ブレスレット、ケース径38㎜、パワーリザーブ約36時間、30m防水。価格は要問い合わせ

パリの橋の上で向かい合い、時を刻みながら近づいていく男女の姿はこれから始まる愛の物語を予感させる。そして正午と真夜中に３分間の口づけを交わす。2010年に登場した「レディアーペルポンデザムルーウォッチ」だ。

ヴァンクリーフ＆アーペルにとって「愛」は、創業時から常に制作のインスピレーション源にしてきた題材だ。新作の「オーブ」は、パリの異なる時間帯を表現した４部作のうちのひとつで、文字盤に夜明けの瞬間を水彩画のようなカラーグリザイユエナメルで描き、ダイヤモンドでベゼルを飾る。ハイジュエラーならではの審美性とサヴォアフェールを注ぎ、物語に新しい息吹を加えた。

恋人たちはそれぞれ橋のたもとに戻り、再び時を刻み始める。だが次の逢瀬まで待つ必要はない。オンデマンドでいつでも口づけを交わすことはできるのだから。ふたりにとって時は自在なのだ。

幸福な１日の始まりを予感させる太陽の光芒を背景に、愛の物語は永遠に続く。

グリザイユエナメル技法は16世紀フランスで開発され、濃淡の異なる色調を用いて明暗法と遠近感を表現する。カラーグリザイユエナメルは、この技法を用いつつパステル調の色合いで表現し、深みと繊細な美しさを添える。

ケースサイドにもダイヤモンドとピンクサファイアをちりばめ、華やかなグラデーションを表現｡

FB-vca_30_2025_Craftsmanship_VCARPES400_06 (1).jpg — 左：ケースバックの小窓のサファイアガラスにはグリザイユエナメルで繊細な雲を描く。　右：マイクロローターは、ピンクのディスクに放射状のパターンをあしらい、回転することで日の光を表現する｡前面からの物語はここに続いている。

左：ケースバックの小窓のサファイアガラスにはグリザイユエナメルで繊細な雲を描く。　右：マイクロローターは、ピンクのディスクに放射状のパターンをあしらい、回転することで日の光を表現する｡前面からの物語はここに続いている。

【VARIATION】
ミッドナイトポンデザムルーウォッチ

名称未設定のデザイン (7).png — **ミッドナイトポンデザムルーウォッチ／**月明かりの下で待ち合わせる男女の愛の物語は2010年に誕生し、同年のジュネーブウォッチグランプリ（GPHG）を「ポエティックコンプリケーション」で初受賞。サイズアップした文字盤に美しい光景が広がる本作は、深い夜の帷を表し、レリーフが立体的に浮かび上がる｡自動巻き、18KWGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約36時間、アリゲーターストラップ、30m防水。価格は要問い合わせ

【VARIATION】
レディアーペルポンデザムルーイヴェールウォッチ

FB-vca_33_VCARO8U300 - Lady Arpels Pont des Amoureux Hiver - Face1 © Van Cleef & Arpels - Clément Rousset.jpg — **レディアーペルポンデザムルーイヴェールウォッチ／**四季をテーマにしたシリーズのうち、冬（イヴェール）を表現した本作｡雪の降り積もるパリの街並みに、凛とした月光に照らされたふたりが口づけを交わす｡淡いトーンを演出するのはグリザイユエナメル｡ブレスレットには、ダイヤモンドにブルーサファイアを雪の結晶状にあしらう。自動巻き、18KWGケース＆ブレスレット、ケース径38㎜、パワーリザーブ約36時間、30m防水。価格は要問い合わせ

ポエティックコンプリケーション「ラブストーリー」の詳細はこちら

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Poetic Astronomy［天体の詩情］
深淵なる宇宙への思いは、詩情とともに美の熟成を続ける

**レディアーペルジュールニュイウォッチ／**新しいモジュールを搭載したムーブメントに刷新したことで、従来のサイズに加えて33㎜径もラインアップ。また薄型化によってシースルーバックを採用｡妖精を描いたサファイアガラス越しに流星を施した回転ローターの動きが楽しめる。43石（約0.36 ct）のサファイアと374石（約4.98ct）のダイヤモンドをセッティング。ストラップは交換可能なインターチェンジャブル式を採用｡自動巻き、18KWGケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約36時間、アリゲーターストラップ、30m防水。価格は要問い合わせ

夜空を彩る天体のスペクタクルは、古くから人類に多くのインスピレーションを与えてきた。時の概念然り、それを可視化した時計もそうだ。いつの時代も時計師たちの創造性を刺激する天体は、詩情を語るテーマにもふさわしく、「ポエティックコンプリケーション」の始動から２年後に「ジュールニュイウォッチ」は登場した。

誕生から16年を経て、昨年ムーブメントを一新したが、文字盤を天地で分けたシンボリックなデザインは変えず、息づく美学をより極めた。ムラーノガラス技法を用いたアべンチュリンのディスクは24時間で１周し、ダイヤモンドを敷き詰めた月と星、イエローサファイアをスノーセットした太陽を対向に配し、昼夜を表示する。扇状に広がるマザー・オブ・パールとのコントラストが地平線の彼方に昇る太陽と月を優美に演出する。

細部にわたり繊細な技術や技法で見直し、さらに煌めく。卓越したサヴォアフェールによって熟成し、語られる詩情は天体と同様決して変わることはない。

イタリア・ムラーノ島のアベンチュリンガラスは、1200℃で加熱すると含有する鉱石によって煌めくような深いブルーを帯びる。そこに月や太陽、ダイヤモンドをセットした星々をはめ込む。

FB-vca_36_Assembling the dial - Lady Arpels Jour Nuit © Van Cleef & Arpels - Johann Sauty.jpg — 24時間で1周するディスクには太陽と月を向かい合わせに配し、その上に放射状のギョーシェを施したマザー・オブ・パールのディスクを積層する。

FB-vca_37_Enamel decal - Lady Arpels Jour Nuit © Van Cleef & Arpels Johann Sauty.jpg — 左：ケースバックのサファイアガラスに施すエナメルデカールは、30〜36層のエナメルを塗り重ね、温度と焼成時間の調整を要する複雑な工程だ。　右：プラチナでシルエットを描いた妖精の背景には、星や流れ星を刻印した回転ローターが控える。

FB-vca_38_VCARPBKG00 - Lady Arpels Jour Nuit - Dos 1 © Van Cleef & Arpels SA - 2023 - Clément Rousset.jpg — 左：ケースバックのサファイアガラスに施すエナメルデカールは、30〜36層のエナメルを塗り重ね、温度と焼成時間の調整を要する複雑な工程だ。　右：プラチナでシルエットを描いた妖精の背景には、星や流れ星を刻印した回転ローターが控える。

【VARIATION】
レディアーペルプラネタリウムウォッチ

名称未設定のデザイン (6).png — **レディアーペルプラネタリウムウォッチ／**アべンチュリンの文字盤に、中央の太陽の周りを水星、金星、地球がそれぞれ実際の周期で周回する｡さらに地球の周りを29.5日にかけて１周する月が輝く。時刻は外周をまわる流れ星で表示｡ケースバックにはダイヤモンドをあしらった三日月形のローターをのぞかせる｡自動巻き、18KWGケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約36時間、アリゲーターストラップ、30m防水。価格は要問い合わせ

【VARIATION】
ミッドナイトインパリウォッチ

名称未設定のデザイン (8).png — **ミッドナイトインパリウォッチ／**アべンチュリンのディスクが1年をかけて1回転し、パリの夜空に浮かび上がる星の位置を示す。パリを離れていてもその時間を実感できるロマンティックな機構だ｡2008年に発表され、複雑機構を代表する天文時計においても「ポエトリーオブタイム」の哲学を体現する。手巻き、18KWGケース、ケース径41㎜、パワーリザーブ約30時間、アリゲーターストラップ、30m防水。価格は要問い合わせ

ポエティックコンプリケーション「ポエティックアストロノミー」の詳細はこちら

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Enchanting Nature ［魅惑する自然］
美しき庭園を逍遥するように、精緻な時との関わりを愛でる

**レディアーペルユールフローラルスリジエウォッチ／**文字盤には針もインデックスもない、花時計に着想を得たロマンティックな作品。12輪のつぼみが春の到来を告げるかのように時間によって開閉し、開花の個数で時刻を示す。その場所はサイクルで異なり、見る者を飽きさせない｡「スリジエ」は桜を意味し、春の花が咲き誇る情景にブルーの蝶が飛び交う｡10石（約0.1 ct）のサファイアと430石（約5.1ct）のダイヤモンドをセッティング。自動巻き、18KRGケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約36時間、アリゲーターストラップ、30m防水。価格は要問い合わせ

美しく咲き誇る花々の姿は、見る者を魅了してやまない。それは高貴な美しさばかりでなく、人知を超えた驚きを伴うからだ。そこに感動が生まれる。「ポエティックコンプリケーション」で目指した自然の詩情はまさにそこにある。

植物と時間の関係に注目した先人に、スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネがいる。1751年の著作『植物哲学』で多彩な植物の咲く庭園を想定し、一日におけるその開閉によって時間を知ることができると考えた。この花時計のコンセプトから着想を得たのが「レディアーペルユールフローラルスリジエウォッチ」だ。

文字盤を埋め尽くした花はムーブメントで開花し、その咲いた数とケースサイドに記した分の目盛りで時刻を表示する。60分毎に開花する位置は変わり、まるで庭園を散歩するような気分が味わえる。

庭を時計にするという発想を高度な複雑機構と匠のサヴォアフェールで実現する。それは芸術と科学の境界線を見据えたリンネの思索とも通じるのだ。