クリエイティビティを刺激する、ハイエンドな“カメラスマホ”

  • イラスト:信濃八太郎
  • 編集:一ノ瀬 伸
Share:

〈スマートフォン〉
Sony Xperia 1V(ソニー エクスペリア 1V SIMフリー対応モデル(XQ-DQ44))

1_Xperia1V_KhakiGreen.jpg
「Xperia 1V」はデジタルカメラ並みの撮影ができる。カラーは写真のカーキグリーンの他にブラック、プラチナシルバー。¥194,700(ソニーストア販売価格)

ソニーのハイエンドスマートフォン「Xperia1」シリーズが最新の「V」でカメラの革新に踏み切った。まずは最新画像センサーの搭載。カメラ群が超広角、広角、望遠と縦に並ぶが、メインの広角用センサーの暗部感度を前モデル比で約2倍に上げたのだ。

感度向上には、入射光をできる限り多く取り込まなくてはならない。今回は受光素子とトランジスタを2層に分けることで、受光面積を拡大。4画素分を1画素にまとめて処理、画素サイズを実質4倍に拡大して記録するピクセルビニング技術も初めて採用した。この合わせ技の効果は大きい。光を多く取り込めるので、回路で無理に増感する必要が減り、ノイズも減る。実際に暗黒に近い環境で撮影したが、被写体の形姿はきちんとわかり、ノイズも少なかった。

さらに撮り手のクリエイティビティを刺激する仕掛けとして、色合いや明るさ、コントラストなどの画質要素をパッケージにした「クリエイティブルック」も採り入れた。6種類のうち代表的なものを挙げると、NTは彩度や尖鋭度が低く落ち着いた画調だ。INはコントラストと彩度を抑えたマットな質感。もともとソニーの一眼カメラ「α」用に開発されたルックだが、簡単撮影をモットーとするスマホにこそ、ふさわしい機能といえよう。

プロ仕様の動画、静止画撮影アプリで「縦撮影」が可能になったことも朗報だ。これまでも基本の撮影ソフトでは縦撮影ができたが、画質を自在にアジャストできるプロアプリは横位置のみだった。TikTokやInstagramなどへの配信は基本的に縦なので、ユーザーの声に応えた。スマホプロパーの操作感で、格段の高画質が撮れるハイエンドなカメラスマホなのだ。

2_Xperia1V_rear_camera.jpg
3つのカメラ群が昼夜を問わない写真・動画の撮影を可能にしている。本体の背面には手に取った際に滑りにくい、独自開発のテクスチャーを加えたガラスを使用。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

問い合わせ先/ソニー・スマートフォン相談窓口
TEL:050ー3754-9013

関連記事

※この記事はPen 2023年9月号より再編集した記事です。