テート美術館の所蔵作品による、光の表現をめぐる200年の軌跡

  • 文:河内タカ(アートライター)

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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー『光と色彩(ゲーテの理論)̶大洪水の翌朝̶創世記を書くモーセ』1843年出品 photo: Tate

本展はロンドンのテート美術館の優れた所蔵コレクションより、「光」をテーマにした18世紀末から現代までのアーティストたちの作品で構成された展覧会だ。その中でもイギリス美術界を代表する画家といっても過言でないのがロマン派の巨匠であるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーである。ターナーは刻一刻と変わる大気の描き方から“光の画家”と言及され、色彩で光を表現した革新的な作品を残したことで知られている。ターナーはイギリス近代美術の先駆者であったばかりか、今回が初来日となる『光と色彩(ゲーテの理論)̶大洪水の翌朝̶創世記を書くモーセ』のように、光と水面の探究において後に登場するクロード・モネを筆頭とする印象派画家たちに大きな影響を及ぼし、20世紀の抽象画にもつながる作品を残した画家だった。

ターナー以外のイギリス人アーティストとして、本展にはブリジット・ライリーやジュリアン・オピーも含まれるが、膨大なコレクションを誇る世界的な美術館なだけに、母国の作家だけでなく、モネやマーク・ロスコ、静謐な室内画家で知られるデンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイ、バウハウスで教えたワシリー・カンディンスキーの絵画やモホイ=ナジ・ラースローの映像作品、光と空間を題材にしたインスタレーションで知られ日本でも人気が高いジェームズ・タレルやオラファー・エリアソンといった現代アーティストなど、総数約120点の作品が結集する。

絵画、写真、彫刻、映像、素描、キネティック・アート、インスタレーションといったさまざまな技法を使い、時代と地域とジャンルを超えた光にまつわる作品を一堂に集め、テーマごとに作品が相互に呼応する構成となるとのこと。光の多様な芸術表現を会場でぜひとも体験したい。

『テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ』

開催期間:7/12~10/2
会場:国立新美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18 時(金、土は20時まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
料金:一般¥2,200
https://tate2023.exhn.jp

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※この記事はPen 2023年8月号より再編集した記事です。