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ウォッチズ&ワンダーズで発表された新作や時計にまつわる新情報を毎日更新中!
去る3月27日〜4月2日までスイスにて開催された世界最大の時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2023」。コロナ禍にため込んだうっぷんを一気に晴らすかのように、華々しい秀作が顔を揃えた。腕時計ジャーナリストの並木浩一が選んだ必見作を紹介する。
ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・レトログラード・デイ・デイト」
今年の新作を網羅的にチェックしてみると、注目すべき“隠れテーマ”が「デイ・デイト」のように思える。リモートワークが定着し、平日と休日の関係性がいままでと変わる中で、日付と曜日はどう表現されるべきなのか。その中でもデイ(曜日)とデイト(日付)を両方、レトログラードで表記するレイアウトは目を惹く。仕事のスケジュールはスマホか手帳で管理するのなら、過ぎ行く日々をヴァシュロン・コンスタンの腕時計で眺めるのはどうだろうか? ヒストリカルなデザインを支える、美しい文字盤や研磨などの仕上げも極上だ。
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パテック フィリップ「5178G - グランド・コンプリケーション 」
文字盤左側のスライダーを操作することで、現在時刻を音で知らせるミニットリピーター。音響系複雑機構の花形に、さらにジュネーブ伝統の七宝ダイヤルを添えた。ほの青いガラス質を透かすのは手作業によるギョーシェ彫り。妖艶にして優美なアートピースでもあるコンプリケーションは、もはや腕時計の域を超えてしまったかとも思える。今年6月に、日本での一大エキシビジョンを予定しているパテック フィリップ。ひとつのブランドの中で文化を完結できる存在など、そうはありもしないことを思い出させる。
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ロレックス「オイスター パーペチュアル 41」
誰もがあっと驚いたカラフルな文字盤のモチーフには、「セレブレーション」という名前が付けられた。背景はターコイズブルー、黒い縁取りのドットはキャンディピンク、イエロー、コーラルレッド、グリーンの4色。そもそもは2020年に発表されたラッカーダイアルのビビッドなカラーに由来する。世界中が不安に沈んだ年から、ポストコロナの時代を迎え、ロレックスの腕時計には世界を鼓舞する祝祭への期待が込められる。腕時計の収穫祭としてのウォッチズ&ワンダーズの中で、最良のプロダクトだ。
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シャネル「J12 サイバネティック」
ホワイトもブラックもそれぞれに魅力がある「J12」コレクションの新機軸。ブラックセラミックを侵食するようにピクセル形状のホワイトを配し、まるで仮面を被った「オペラ座の怪人」のように白と黒の入れ子に彩った。しかもホワイト部分は、単にカラーの違いだけではない。ブレスレット端の延長線上から右側のケース部分はホワイトセラミックで、90度角でカットして象っていく造形の冒険が目を釘付けにする。予想を超えて、シャネルのエスプリはどこまでも人を酔わせる。
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モンブラン「1858 ジオスフェール クロノグラフ ゼロ オキシジェン ザ・8000 リミテッドエディション」
誰がなんと言おうと、いま現在、世界最高の登山家はニルマル・プルジャだ。そのスーパースターの装備である腕時計の最新バージョン“8000”のクロノグラフもまた、登山のギアとして最高ではないだろうか。北・南両半球の現在時刻を真っ二つにした地球儀上で表示する独創のワールドタイマーと、酸素を抜いて曇りの心配をなくした“ゼロ オキシジェン”。タイトルの数字は、無酸素であることの価値が完全に発揮される8000メートル級の高地を意味している。ダイヤルはその高みの光景である岩と氷のカラーを使用し、さらに視覚効果まで表現した。
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