人類初の宇宙飛行士ガガーリンと、彼を取り巻く人をカラフルに描く

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『ロシアの星』

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アンヌ=マリー・ルヴォル 著 河野万里子 訳 集英社 ¥2,750

1961年に人類初の宇宙飛行を果たしたユーリー・ガガーリンは、祖国によって英雄に祭り上げられ、7年後に事故死した。宇宙計画に携わった老人、妻、同僚の飛行士、宇宙から帰還したガガーリンを発見した農家の女性、熱狂的なファン……。虚実入り混じるさまざまな登場人物それぞれにとってのガガーリンが描かれていく。一編一編が陰影に富み、実にカラフルだ。英雄の虚像をはぎとってみれば、血が通ったひとりの人間が浮かび上がる。それがこんなにも胸を打つのは、夢を見ることの本質が描かれているからだろう。

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※この記事はPen 2022年11月号より再編集した記事です。