日露戦争前夜からの半世紀、満州の開発と破壊を描いた巨編

  • 文:武田砂鉄(ライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『地図と拳』

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小川 哲 著 集英社 ¥2,420

日露戦争で勝利した日本は、満州に理想の新国家建設を計画した。戦前に神父としてこの地に来たロシア人、クラスニコフが持っていた地図で森林だった場所は農地に、そして街へと変貌を遂げていく中で、日本軍によって焼き払われてしまう。中国人の暴動が起きたからだ。日本軍は再興計画を策定したが、再び大きな戦争が近づいていたため新官舎の建築計画に変わり、それも白紙に戻る。歴史の中で地図は何度も書き換えられてきた。満州の開発と破壊、人々の希望と絶望を描いた長編小説だ。

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※この記事はPen 2022年9月号より再編集した記事です。