個性的なダイヤルデザインと端正極まりない造形が魅力のA.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」をサイズアップした「グランド・ランゲ1」が10年ぶりにリニューアル。前モデルよりもケース厚が0.6㎜スリムな8.2㎜となり、よりエレガントなプロポーションになった。袖口の収まりがさらに良くなったほか、手首にもぴたりとフィット。快適な装着感が得られる。
オリジナルの「ランゲ1」が登場したのは1994年に遡る。東ドイツ政府によって国営化されたA.ランゲ&ゾーネが復活して初のコレクションとなる4モデルが同年に発表されたが、中でも「ランゲ1」はオフセンターのダイヤルに大型2窓式アウトサイズデイトを備えた革新的なスタイル。しかも、主ゼンマイを収めた香箱を2つ搭載したツインバレルで約72時間のロングパワーリザーブを実現するなど、後の時計づくりに大きな影響を与えた。この「ランゲ1」はケース径が38.5㎜だが、2003年には41.9㎜と格段にサイズアップした「グランド・ランゲ1」が登場。この頃から大型時計がトレンドになっていたので、A.ランゲ&ゾーネでも時代のニーズに対応したラージサイズが必要と判断したのではないだろうか。
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立体的で精緻に仕上げられたダイヤル
「グランド・ランゲ1」の初登場から9年後の2012年には、新開発の専用ムーブメントを搭載してリニューアルされ、ケース径は41㎜、厚さも11㎜から8.8㎜とサイズダウン。そして2022年の新作は、さらに薄くなって8.2㎜。前モデルより0.6㎜、初代に比べれば3㎜近く圧縮されたことになる。手巻きの専用ムーブメント「キャリバーL095.1」も、パワーリザーブこそ「ランゲ1」と同じ約72時間だが、ツインバレルではなくシングルバレル。香箱の直径を大きくすることでロングパワーを実現しており、派生モデルの域を超えた進化を遂げている。
同じ専用ムーブメントを搭載しているため、インデックスなどダイヤルの構成要素をできる限り薄型化することで、0.6㎜の削減を実現したという。その一方で、オフセンターのダイヤルは奥ゆきを感じさせる。時分計とスモールセコンドのインダイヤルは、マットグレーのダイヤルベースよりも一段低いだけでなく、レコード盤のようなアジュラージュ仕上げ。インダイヤルとダイヤルベースの雰囲気を変えて立体感を演出するだけでなく、その境界部分を目立たないよう緩やかに傾斜させることで、相対的に針やインデックスが鮮やかに浮かび上がって見える。視覚的な効果を踏まえた精緻で細やかな工夫が施されているのである。
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毅然とした造形に丁寧な面取り
ケースフォルムやラグは、いかにもドイツ的と表現したくなるほどエッジが際立っている。ダイヤルも含めて、垂直と水平、そして真円に揺らぎはまったくなく、あたかも貴公子のように毅然とした造形に丁寧な手技による面取りが呼応。快感と言っても大げさではない心地良さが感じられる。これはコンパクトな「ランゲ1」と薄型ラージケースの「グランド・ランゲ1」ともに共通なので、二者択一は限りなく悩ましいものとなる。だが、実際に腕に載せて比べてみれば簡単明瞭、すぐに判断できるに違いない。それでも悩みに悩んだ末にどちらを選んだとしても、決して後悔することはないのでご安心を。
問い合わせ先/A.ランゲ&ゾーネ TEL:0120-23-1845
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