村上春樹が小説の執筆時に使用した、YAMAGIWAのデスクライト

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一

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「555REBIO/BK +555REBIO/BASE/BK」がモデル名。明るさを100%、50%、10%に調節できる、3段階調光タッチスイッチを採用。複数のチップを1つのパッケージにしたLED光源を採用しているので、LED特有の不快な多重影も発生しない。H•Max80×W・Max101×D21cm。¥45,870(税込)/YAMAGIWA

「大人の名品図鑑」村上春樹をめぐる名品編 #6

第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』の原作を執筆したのは、日本、いや世界を代表する作家・村上春樹だ。今回は村上春樹の数々のベストセラーに登場する名品、あるいは本人の愛用品について語る。

村上春樹は小説を書くときにどんな筆記具を使っているのか? ファンならずとも気になるところだろう。昔の作家の多くは原稿用紙に万年筆や鉛筆で執筆をしていたが、デジタル時代のいま、さすがにアナログで原稿を書いているわけではなさそうだ。ではどんなツールを使って村上作品は生まれてくるのだろうか。そのヒントを求めて、彼の書斎が再現されている村上春樹ライブラリーを訪れてみた。

村上春樹ライブラリーが彼の母校である早稲田大学にオープンしたのは、昨年の10月。正式名称は「早稲田大学国際文学館」。村上春樹は早稲田大学第一文学部演劇科出身だが、彼が在学中に通った「坪内博士記念演劇博物館」に隣接する4号館をリノベーションして、地上5階、地下1階の建物が完成した。デザインを担当したのは世界的な建築家の隈研吾で、隈作品らしく、うねるようなトンネルとひさしが掛けられた独創的なデザインが目を惹く。このライブラリーは単なる記念館ではなく、村上春樹文学を通して、国際交流や新しい表現活動を行う場所として考えられた施設だ。海外の翻訳版を含めて村上春樹本人から寄贈・寄託された著作から、長年蒐集するレコードやCDまで所蔵されている。かつて経営していたジャズ喫茶「ピーターキャット」に置かれていたピアノがあるカフェまで併設され、「村上ワールド」を存分に体感できる。ちなみに入館は無料だが、HPから事前の予約が必要だ。

彼の書斎が再現されているのが、地下一階のコーナーだ。『BRUTUS』2021年10月15日号には、「自宅書斎と同じ間取りで再現した部屋。床も同じ木を使い、本人も『そっくり』と太鼓判」とある。残念ながら外からの見学のみで入室することはできない。ガラス越しに覗き込むと、テーブルのような白木の幅広のデスクの中央に置かれているのは、アップルのデスクトップPC、iMac。やはり彼はパソコンを使って原稿を書いている。パソコンの脇に置かれたノートの上には、愛用するペーパーメイトのイエローの鉛筆やユニボール・シグノのボールペンも置かれている。スイスの国旗が描かれているのだろうか、赤のマグカップが可愛い。デスクの右側に置かれた照明器具が印象に残った。プロの作家が使っているものだから、機能も素晴らしそうだが、そのデザインが洒落ていた。

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人間の目にもっとも優しい光を再現する卓上ライト

調べてみると、村上が卓上ライトとして愛用していたのがYAMAGIWAの「BioLITE(バイオライト)」という製品だ。「文字を読みやすくするためにどうあるべきか」という問題に真正面から取り組み開発されたモデルで、人間の目にもっとも優しいと言われる“日の出30分後”の太陽光に極めて近い特性を光源につくられている。発売は1987年。文筆家、読書家、工芸作家やデザイナーなど、長時間の視作業を続ける人や、正確な色にこだわる人から圧倒的な支持がある。残念ながら彼が愛用したモデルはもう販売を終了しているが、その後継機種というべき「Rebio(レビオ)」というモデルが現在も発売されている。

前モデルでは白熱電球が使われていたが、今回はその上質な光をLEDで再現している。文字が読みやすく設計されているので、小さい文字を長時間読んでも目が疲れにくく、赤は鮮やかに、白は白くと、本来の色が再現され、JIS規格の2倍以上の明るさが実現したモデルだ。しかもヘッドの前方に向けて斜めに光を照射されるように設計されているので、垂直に降りる光よりも広範囲に照らすことができ、ヘッドを低い位置にしても配光が確保される。照明機器の会社として長い歴史をもつYAMAGIWAの自信作とも言えるだろう。コロナ禍でリモートワークが増えている昨今、快適なワークスペースの実現に絶好のモデル。また、スマートフォンやゲームなど、長時間デジタル機器を操作することも多いま、目の保護を考える人にもオススメだ。

とあるウェブサイトによれば、村上春樹が原稿を書くのは主に午前中。午前4時に起きて、パソコンの前に座って原稿を書くのが常。一度に執筆するのは原稿用紙10枚程度と決めていて、それ以上は書かないとある。そしてその後は走ったり泳いだりと運動を。午後は読書やレコード鑑賞などに充て、夜9時には就寝するのがルーティンだとも書かれている。これらが本当かどうかはわからないが、「Rebio」の光が“日の出30分後”の太陽光に近いことを考えると、彼の執筆スケジュールに則った選択だったのではないだろうか。

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光源はLED。タッチ調光スイッチ付きで、調光記憶機能も搭載。100%、50%、10%と調光できる。

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スムーズに光源の高さを調節することができるアーム。仕上げも美しい。

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台座はデスクの上に置くタイプ。デスクを挟み込むクランプタイプも販売されている。

問い合わせ先/YAMAGIWA TOKYO︎ TEL:03-6741-5800

https://www.yamagiwa.co.jp

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