自然と精神のエネルギーを可視化した、NYのアーティスト田島美加の個展を太宰府にて開催

  • 文:白石菜美

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ニューヨーク在住のアーティスト、 田島美加の個展「Appear」が太宰府天満宮アートプログラム vol.11として開催。『Negative Entropy (Dazaifu Tenmangu, Morning Prayer and Offerings, Gray, Quad)』2020 H186.4×W142.6×D5.7cm ©︎Mika Tajima Courtesy of TARO NASU Photo by Charles Benton

太宰府天満宮では、人々が行き交い集う場としての「開放性」と、1100年以上昔から変わらない天神信仰の場としての「固有性」というふたつのキーワードをテーマに掲げ、2006年から展開する太宰府天満宮アートプログラムの第11回として、ニューヨーク在住のアーティスト、田島美加(ミカ・タジマ)の個展を開催する。

「Appear」とは、目に見えるようになること、知覚されること、または、ある証拠によって明らかにされること。日本人の両親のもと、アメリカで生まれ育った田島は、グローバルな視座から、これまで西洋と東洋の交錯、物質・エネルギー・人間の精神の遷移、変換などをテーマにしてきた。
2019年に太宰府を訪れた田島は、初めて知る神社と神道、そして、1100余年の間、循環しながら歴史をつないできた当宮への考察を通して、10点の新作を制作。今回、境内に常設される立体作品『Echo』には蓄光性の顔料が使われ、太陽光とブラックライトによってチャージされたエネルギーが循環する仕組みにより、光に包まれた瞑想の彫刻が出現する。瞑想の台は、古代のピラミッドの構造のようでも、SFの多角形宇宙船のようでもある。彫刻の表面には蓄光性の材料が使用されていて、その層は太陽光と6本のブラックライトの組み合わせによる光エネルギーをふんだんに取り込み、作品を「帯電」した物体へと変化させる。「禁制遷移」を経てより高い量子エネルギー状態に達した彫刻は、日中は強力なLEDブラックライトに照らされ、電気を帯びてスクリーンのように光り、夜に太陽が沈んでからも輝く光として可視化される。
また宝物殿には、御本殿での祝詞を収録した音源をプログラミングによってパターン化し、ジャガード織機で織る「Negative Entropy」をはじめとする作品が並ぶ。

境内を歩き、話し、長い時間の思索を経て田島が辿り着いた、自然と人の精神のエネルギーの可視化を試みる作品の数々との対峙を楽しみたい。

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海外で高い評価を受ける田島の作品を、日本初の規模で紹介。『Art d'Ameublement (Karena Maihiva)』2021 H182.9xW137.2cm ©︎Mika Tajima Courtesy of TARO NASU Photo by Charles Benton
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太宰府天満宮ならではの素材と技術を取り入れる。『Anima 9』2021 H38.1xW48.3xD35.6cm ©︎Mika Tajima Courtesy of TARO NASU Photo by Charles Benton

太宰府天満宮アートプログラム vol.11 田島美加 「Appear」

会場:福岡県太宰府市宰府4-7-1 太宰府天満宮宝物殿 企画展示室・境内
開催期間:5月15日〜10月10日
※ 7月18日・7月2 5日・9月19日・10月10日を除く月曜休館
開館時間:9時〜16時30分(入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一 般¥500(400)(税込)・高大生¥200(100)(税込)・小中生¥100(50)(税込)
※()内は30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金
主催:太宰府天満宮
協力:TARO NASU
展示監修:スーパーファクトリー
問い合わせ先:太宰府天満宮文化研究所
TEL:092-922-8551(9 時〜17時)
MAIL:anderson@dazaifutenmangu.or.jp
https://keidai.art/event/817

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