京都人がうらやましい!日本家屋が並ぶ旧市街の町家スターバックスに通えるなんて

  • 写真・文:高橋一史

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2階を見上げればそこは、「スターバックスコーヒー京都二寧坂ヤサカ茶屋店」。

Pen Onlineのこのブログ「コラムニスト」に近ごろ連続ポストしている、“京都ならではの魅惑のカフェ”シリーズのラストを飾るのは……ここしかないでしょう、
「スターバックスコーヒー京都二寧坂ヤサカ茶屋店」
(カフェ記事のアーカイブは、最後のリンクをご参照ください)

清水寺へとつながる古風な日本家屋が居並ぶ通り「二寧坂」にある京町家を改装して2017年にオープンしたこの店。
ご存じの人にはお馴染みの、ご存じない人は驚きの声を上げる店。
大手チェーン店がここまでやるか!と観光名所になっている店。

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スタバだと知らなければまず前を通り過ぎてしまう門構え。私はスマホのナビに頼って辿り着き、目の前にあるのにしばらく気づきませんでした!
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大正時代に立てられた築100年の京町家を改装した一軒家。看板はこの写真だと光が当たり目立つ印象ですが、ほぼ家と一体化してよく見ないとわからないほど。

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冬のオフシーズンの夕方遅く、しかもコロナ情勢が危うい2月上旬の二寧坂。誰も歩いていない瞬間を目にできました。

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暖簾をくぐり入店したエントランスのオーダーレジ。ドリンクの受け取りは廊下を歩いた奥のカウンターにて。
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町家の構造が奥に長い理由は、間口の広さで課税額が決まった時代の節税対策のため。その町家の「通り庭」がイメージされた廊下を歩き風情を味わいます。途中に中庭もある凝ったつくり。写真は廊下奥からエントランスを振り返った様子。

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行灯がイメージされた、ほのかな明るさに和む受け取りカウンター。
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1階奥の窓外は枯山水庭園。でもさほど高品位なしつらえじゃないんですよ 笑。そこがまた親しみやすくもあり。
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2階への階段を上がる手前に飾られた草木。上品ながら嫌味なくドヤ顔でもなく、好きでしたねこの棚。

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2階左奥(坂に面した正面の反対側)が広い和室。靴を脱ぎ、世界のスタバでここだけの畳敷き座敷に上がります。座布団や掛け軸はアップデートされた伝統工芸品。
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奥まった四畳半の小部屋。掛け軸のそばに二人席、反対側にも席があります。

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階段を上がり奥の大部屋に行く廊下。もはや旅館の趣。

店内でしばし時を過ごし気づいたのは、
ここが見事によくできたエンタメ空間ということ。
2度、3度と行きたくなる魅力に溢れてます。

豪華な日本家屋で趣味のいいインテリアの高級店なら、割烹やホテルを含めればそれこそ東京にだっていろいろあるもの。
でも京都二寧坂ヤサカ茶屋店は、贅を味わう店とは少し趣が異なるのです。
(贅沢には違いないですが)
テーマパークっぽいと言いますか。

迷路のように構造が入り組んで、幾つもの部屋にわかれながらドアがないオープンフロアで、客が好き勝手なところに座り、一歩前へ歩くだけで違う何かを発見できる。
2階建て一軒家のなかでテイストを統一させず、雑然とさせた内装のバランスも巧み。
日本家屋の古ぼけたテクチャーと調和した不思議なファンタジー世界。

幼少期に訪れた田舎の親戚の家のような親しみやすさもあります。
メニューは他店と同じで、スタバによく行く人はそこにも安心感を抱くでしょう。

ただ私が撮ったこの記事内の写真は、建築写真のように妙にお堅いですよね。
「写真撮っていいですか?」
「もちろん!」
の愛想のいい店員さんとのやり取りのあとお客さんを避けて撮ったのですが、どうにも店のムードを捉えられず……。
実際にここにいると、薄暗くて柔らかでホッとできて、いろんな要素がいちどに目に入ってワクワクするんです。
「ムードを撮るって難しいなあ」と。
魚眼レンズとかでグイグイ行っちゃうのが正解かもです。
心理描写をするなら。

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1階までの吹き抜けにキャンドルのようなライトがつらなるインテリアが。和モダンの様相です。
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2階から1階を見下ろして。体を乗り出さないと目にできない光景。

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ストロー類が置いてある「コンディメントバー」の窓から眺めた二寧坂周辺の家並み。周囲を含めた空間づくりができるのは京都ならではでしょう。
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靴を脱がずに座れるシートも。旅館のロビーや和室の縁側「広縁(ひろえん)」を彷彿させる椅子がユニーク。

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階段が狭いため一方通行システムになってます。

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帰りの出口にどん!と現れる人魚「サイレン」。土壁と一体になり客を見送ります。「ありがとう、また来てね」と。

全国にはデザインに凝ったお洒落スタバも、「どうだ!」のスゴ技建築のスタバもあるようですが、店内から外に出て150メートル歩いてもずっと古風な和の世界が続き、同じ心持ちでいられる店がほかにあるでしょうか?
(あるなら行きたい)

店は客がつくるものでもあり、スタバですから客の中心は若い女性たち、またはカップル。
風格のある屋敷のなかに今どきな子たちがいるギャップもまた楽し。
和装で正座してる子もいれば、だら〜んと足伸ばしてる子もいて。

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では最後にひとつオマケを。

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京都駅のスタバ。

これはこれで最高。
床石をグレーに変えた丸いグラフィックがたまりません。
庭のある家に入っていく感覚。

コーヒーを飲みたいときはロースター併設のコーヒースタンドに行く機会が増えて久しくスタバから遠ざかっていましたが、また興味が湧いてきた京都の取材出張でした。

All Photos©KAZUSHI

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。