1.HUBLOT(ウブロ)
ビッグ・バン インテグラル チタニウム ホワイト
グレード5のチタンをサテンとポリッシュのツートーンで美しく仕上げた。磨き上げた鏡面と艶消しとのコントラストは見事で、ケースからブレスレットへの流麗なデザインを引き立てる。ベゼル上のアイコニックなH字型ビスもチタン製だ。コラムホイール式のクロノグラフ機構をダイヤル側から眺められる自社製ムーブメント「ウニコ 2」を搭載。
2.BVLGARI(ブルガリ)
オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT
サンドブラスト加工を施したブレスレットやダイヤルなど、ケース以外もチタン製で統一した超軽量ウォッチ。厚みの出ないペリフェラルローター式の自動巻きムーブメントを搭載し、ケースの厚みはわずか6.90㎜。クロノグラフにGMTを備えた世界最薄の記録をもつ、ジェットセッター向けの一本だ。
3.ZENITH(ゼニス)
デファイ エクストリーム
全体をマットに仕上げたケースと一体型のチタン製ブレスレットウォッチは、クイックチェンジ機構で簡単に交換できるラバーストラップとベルクロストラップも付属。ふたつの脱進機を備えた1/100秒計測のクロノグラフムーブメント「エル・プリメロ 9004」による、1秒で1周する超高速回転も魅力。
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チタンがスイス製高級時計の素材として認められたのは、そう昔の話ではない。宝飾品として高級であるためには貴金属製であることが当然だった時代は、懐中時計の誕生から1970年代まで数百年続いた。そのドグマを覆したのがステンレス・スチール(SS)製の高級スポーツモデル、いわゆるラグジュアリースポーツと呼ばれる分野の台頭で、チタンが脚光を浴びたのはさらにその後だ。
チタンが新種の鉱物として発見されたのは18世紀末。実用に耐える純度で分離ができたのが20世紀初頭で、軍用機に採用され始めたのが1950年代。紀元前から使われていたゴールドやプラチナ、鉄などに比べ、数千年遅れて実用化された、まぎれもなく現代を代表するマテリアルである。
軽量で強度や耐蝕性に優れるチタンだが、精密な表面仕上げの難しさから高級時計には敬遠されてきた。ただ、近年の技術革新やグレード5と呼ばれるチタン合金の開発により、SSに見劣りしない美しい仕上げが可能となり、名門ブランドが続々と採用している。
チタンの特性が最大限に活きるのが、ケースと一体型のブレスレットウォッチだ。アレルギーフリーであり、SSの約60%、金の半分以下の重量で、軽くて着けているのを忘れるほどだ。その快適さは、機械式腕時計が手にした新しい価値なのである。
並木浩一
1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。