タグ・ホイヤー「オータヴィア」誕生60周年を記念して新作3モデルが登場

  • 文:笠木恵司
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伝説的クロノグラフ「オータヴィア」誕生60周年を記念した新作として、タグ・ホイヤーからフライバッククロノグラフ2タイプとGMTの計3モデルが登場した。写真のクロノグラフは1960年代に製作された希少なパンダダイヤルを継承し、シルバーダイヤルにブラックのサブダイヤルが個性的。「タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ」

自動車と航空機が急速に発展しつつあった1933年に、タグ・ホイヤーの前身であるホイヤー社は30分と12時間、2つの積算計を備えたダッシュボードタイマーを開発した。その名も「オータヴィア」。そのタイマーを取り付ける自動車(automobile)と航空機(aviation)を組み合わせた造語であり、当時の意気込みが想像できる。1958年の「スーパーオータヴィア」を経て、1962年に発表された腕時計のクロノグラフがこの名称を受け継ぎ、さらに伝説的なものとなった。

2022年はクロノグラフ「オータヴィア」が誕生して60周年。これを記念してクロノグラフが2タイプ、コレクションでは初となるGMTと合わせて3モデルの新作が発売された。滑り止めとして深い刻みを入れた大型リューズが共通しており、クロノグラフのプッシャーも大きく特徴的だ。これらは「オータヴィア」の前史であるダッシュボードタイマーから発案。優れた視認性と、クロノグラフは60分計、GMTでは24時間の目盛りを備えた両方向回転ベゼルも伝統的な装備だ。

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クロノグラフはリセットボタンの一押しで瞬時に再計測できるフライバック機能を搭載。ストラップは背面のボタンを押すだけで交換できるインターチェンジャブルとなっている。「タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ」自動巻き、SSケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約80時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、100m防水。¥748,000(税込)

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ドイツ空軍採用モデルからインスパイア

ただし、クロノグラフの新作に関しては、1960年代後半にドイツ連邦軍(西ドイツ)のパイロットウォッチとして採用された「1550 SG」の影響が強いように思われる。このモデルは、計測途中でもリセットボタンのひと押しで針がゼロ位置に戻って、瞬時にリスタートできるフライバック機構を備えていた。新作もこれに倣って自社製キャリバー「ホイヤー02 COSCフライバック」を初めて搭載しているからだ。直立した太字のアラビア数字や針のスタイルなど、ダイヤルもよく似ている。

「1550 SG」は60秒と30分積算計の2カウンターだが、新作の「タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ」は12時間積算計が加わった3カウンターに進化。ムーブメントもCOSC認定の高精度というだけでなく、約80時間のロングパワーを誇る。意匠や基本的な要素は伝統を尊重しているが、心臓部は最新のテクノロジーを駆使。信頼性や安定性、実用性なども大幅に向上している。

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クロノグラフのケースバックはシースルーになっており、自社製キャリバー「ホイヤー02 COSCフライバック」の動きが視認できる。上部の赤い歯車はクロノグラフ機構の司令塔ともいえるコラムホイール。

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対照的なデザインのふたつのクロノグラフモデル

クロノグラフはメタリックなシルバーダイヤルとブラックダイヤルの2タイプ。前者のシルバーモデルは30分積算計と12時間積算計がブラックで切り替えた通称“パンダダイヤル”になっており、1960年代にわずかな本数のみ生産された稀少なスタイルだという。6時位置の通常秒針(スモールセコンド)は目立たないホワイトであり、金属の質感を強調したダイヤル面にブラックのサブダイヤルは視認性に優れているほか、遠目でもわかる個性的なアクセントといえるだろう。立体的なアラビア数字がもたらす陰影も魅力だ。

後者のブラックダイヤルモデルは、ケースも炭素の硬質皮膜であるDLCでブラックコーティングしており、傷がつきにくい。精悍なブラックボディに、インデックスと針に施されたライトグリーンの蓄光式夜光が独特の雰囲気を加えている。

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ブラックダイヤルにライトグリーンのスーパールミノバを塗布したクロノグラフ。ケースもDLC炭素硬質皮膜でブラックコーティング。傷がつきにくい。「タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ」自動巻き、SSケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約80時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、100m防水。¥825,000(税込)

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約90年のレガシーを宿す、硬派な佇まい

3つ目の新作「タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー GMT」は、オレンジの針が第2時間帯を指し示すデュアルタイム。24時間計が刻まれたベゼルは硬度の高いセラミック製なので、こちらも傷がつきにくい。艶ありのなめらかなベゼルをブルーとブラックに色分けしており、昼夜がひと目で認識できる。両方向回転なので、オレンジの針を動かすことなく、時差の分だけベゼルを回すことで第3の時間帯も簡単に表示可能。ムーブメントは「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー7 ツインタイム デイト」などと同じキャリバー7を搭載しており、COSC認定の高精度。サンレイ仕上げの鮮やかなブルーダイヤルが若く清潔な印象を与える。

腕時計では60周年だが、ルーツであるダッシュボードタイマーから数えれば約90年。これまでのレガシーを随所に取り入れた新作は、その謎解きもさることながら、硬派ともいえるヴィンテージな佇まいを楽しんでいただきたい。

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「オータヴィア」コレクションに初めて追加されたGMTモデル。オレンジの針がベゼルの第2時間帯を指し示す。「タグ・ホイヤー オータヴィア60周年アニバーサリー GMT」自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径42㎜、パワーリザーブ約50時間、100m防水。¥495,000(税込)

問い合わせ先/LVMH ウォッチ・ジュエリージャパン タグ・ホイヤー TEL:03-5635-7054

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