【Penが薦める腕時計、今月の3本】過去と未来が交叉する、“パンダ”顔の復刻デザイン

  • 写真:渡邉宏基
  • 文:並木浩一

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TUDOR[チューダー]/ブラックベイ クロノ。チューダー初のクロノグラフ誕生から50年を経て製作された、メモリアルな2カウンタークロノ。耐食性や耐摩耗性を高めるアルマイト加工のタキメーターベゼルや、ドーム型の風防、ドットインデックスなど、レトロな意匠に心を奪われる。搭載する自社製ムーブメント「MT5813」は、コラムホイールと垂直クラッチを採用し、耐磁性のシリコンヒゲゼンマイを装備したCOSC認定のクロノメーター。自動巻き、SS、ケース径41㎜、パワーリザーブ約70時間、200m防水。¥592,900(税込)/日本ロレックス / チューダー TEL:03-3216-5671

復刻デザインの象徴ともいえるツーレジスターへの注目が過熱している。クルマや飛行機の発達に伴い、操縦しながら時間を計測できるようにと、腕時計にクロノグラフが搭載されたのが1910年代の頃。そんな黎明期に見られたのは、中央のクロノグラフ秒針に加え、3時位置に30分計、9時位置にスモールセコンド(秒針)を備えた、いわゆる“2つ目”とも呼ばれるスタイルだ。

時を経て、白文字盤に黒のサブダイヤルを合わせた“パンダ”顔のデザインが登場すると、60年代前後に大きな流行となる。さらに白黒反転させた“逆パンダ”も加わり、バイカラーのツーレジスターは腕時計のデザインとして確固たる地位を占めるようになった。

チューダーの「ブラックベイ クロノ」は、ブームを牽引する代表格だ。70年に誕生したブランド初のクロノ「オイスターデイト」を彷彿させるフォルムに、白黒のコントラストが際立つ。カール F. ブヘラは、56年に発表したクロノグラフに着想を得つつ、リバースパンダのデザインに年次カレンダーを組み込んだ。一方、ハミルトンによる68年の復刻は、ピストン型プッシュピースなどディテールも正確に考証された佳品だ。

未来への疾走感とレトロ感が交叉するバイカラーの計測機は、時をつなぐタイムマシンのような存在かもしれない。

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CARL F. BUCHERER[カール F. ブヘラ]/ヘリテージ バイコンパックス アニュアル。漆黒のダイヤル上に、シルバーカラーのサブダイヤルが力強いコントラストを描く。ビッグデイトも備えた高度な年次(アニュアル)カレンダー搭載のクロノグラフでありながら、針、インデックスの数字書体、風防ガラスなど随所に1950年代の意匠を受け継いでいる。現代性とヒストリカルデザインの魅力が切り結ぶ逸品だ。自動巻き、SS、ケース径41㎜、パワーリザーブ約42時間、カーフ革ストラップ、シースルーバック、30m防水、世界限定888本。¥990,000(税込)/スイスプライムブランズ TEL:03-6226-4650

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HAMILTON[ハミルトン]/アメリカン クラシック イントラマティック クロノグラフ H。手巻きクロノグラフ全盛期の名機である1968年の「クロノグラフA」をルーツとする復刻モデル。最新のハミルトン専用「H-51」キャリバーを搭載する一方で、オリジナルモデル当時のロゴを採用。オフホワイトのダイヤルに灼けたようなオールドラジウムカラーの蓄光塗料を針とインデックスに配し、ヴィンテージルックを極めた。手巻き、SS、ケース径40㎜、パワーリザーブ約60時間、カーフ革ストラップ、100m防水。¥265,100(税込)/ハミルトン TEL:03-6254-7371

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