ムッシュー・ラスネール フランス発、ユーモアと洗練のニット

  • 写真:江森康之
  • 文:高橋一史

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語れる服 Vol.1:話題の「ムッシュー・ラスネール」、デザイナーによるプレゼンテーション。

山に生きる動物、山で楽しむスポーツ

この秋冬コレクションのモチーフは、懐かしい情景を漂わせる、冬山のスポーツや野生動物。人懐っこくチャーミングなデザイナーのガランスが、今季のアイデアを語りました。
「頭のなかで空想して山のシーンをイメージしました。フォックス(きつね)、森、落ち葉……などを。秋らしい服をつくりたかったんです」
 できあがった代表的なアイテムが、フォックスの顔を編み込み模様でセンターに配したポップなクルーネックセーター(¥31,500)。隠し図案のようなグラフィックは、日本の折り紙にインスパイアされたもの。メリノウール100%で、シルエットはアーム幅が細めで身頃はややルーズ。バイカラーの配色も、動物の絵柄使いも、今の世界的なトレンドと共通しています。

クラシックアイテムを、ニットに落とし込む。

今季のもう一つの代表アイテムは、スキー模様のセーター(上写真¥31,500)。山小屋から滑り降りたスキーヤーの姿が編み込まれた、穏やかでユーモラスな一着です。2色に抑えたシンプルな配色と、凹凸で表現したスキー跡のシュプールが、なんともいえない深い味わい。
「地糸で編んだベースの中に別の糸で模様を編み込むインターシャの機械で製造しています。これもメリノウールで色は2色に見えますが、実はメランジの糸を使っているため、点状に多色が入っているんです」
ガランスは生産工場に自ら足を運んで、職人と一緒にニットづくりをします。まだ型数が少ないブランドだからこそ可能な服づくりなのかもしれません。
「フランス国内の工場だけでなく、ポルトガルの工場にも行って、その場でつくります。職人さんにいろいろな実験をしてもらうのが大好きなんです! 言葉のやりとりはどうしているか、ですって? 人とコミュニケートするのが好きなので、ポルトガル語や英語、スペイン語などを勉強していますから何とかなっていますよ」
日本のアパレルのニットづくりは、小さいブランドでも仲介業者を通して海外発注するやり方が主流。彼女は時代の流れに異を唱えるように、人と人との結びつきで個性的なアイテムを生み出します。この精神が根付いたのは、エルメスに勤めていた経験が大きく影響しているよう。
「エルメスで7年間ニットを担当していましたが、このときに『何か起こったら、すぐに工場に行きなさい』と言われていました。この姿勢が独立した今でも役立っています。上質な糸の選び方を学んだのもこの頃ですね」
ムッシュー・ラスネールのアイコンといえるヒットアイテムは、ニット製スタジャンの「テディ」(上写真¥47,250)。秋冬ものはスーパーファインアルパカ100%で、春夏ものはエジプト綿100%の糸で編まれています。クラシックアイテムを上質なニットに落とし込む彼女のデザイン手法がも最もよく表れた定番です。

デビューコレクションはパリの本屋で発表。

ガランスは若い頃からデザイナーを目指していたのではなく、もともと法律を勉強していました。ファッションメーカーのスタージュ(研修)を経験したことで進むべき道を決定。
バルマン、エルメスを経て、公私共にパートナーのブノア・ユッソンと共に独立し、映画「天井桟敷の人々」にも登場する実在の人物、ラスネールの名を冠したメンズブランドをスタート。2011年にデビューするなりパリの有力セレクトショップ「コレット」や百貨店「ボンマルシェ」で取り扱われ、日本のセレクトショップもこぞってプッシュする人気ブランドになりました。 ムッシュー・ラスネールが小規模ブランドながら話題を呼んだ理由には、パリでのプレゼンテーションが印象的だったこともあります。ビジュアル制作や宣伝を担当するブノアが、その仕掛け人。
「パリのギャラリー的な本屋『Ofr.』に、ファーストコレクションを置きました。ラスネール氏は詩人でもありますし、そんな世界観にふさわしい展示だったこともバイヤーさんから支持された理由でしょう」
2013-14年秋冬は布帛アイテムも増えて、ブランドの表現の幅が大きく広がっています。
日本初となるお披露目の展示会場では、動物をハンティングする道具のイメージで、ヨーロッパから持参したパチンコが来場者にプレゼントされました。伝統の封ろうで閉じた封筒に入ったノスタルジックなおみやげは、大人でも童心に帰り森の中で遊びたくなるほどの魅力にあふれていました。
「ラグジュアリーを知る30代以上の男性は、まだまだ若くありたいと願っているもの。ムッシュー・ラスネールはまさに、子どもの心を忘れない大人のための服なのです」

Garance Broca  ガランス・ブロカ
デザイナー。誰にでも優しく笑顔で接する愛されキャラクターのもち主。幼子の母親。来日時にはブノアと一緒に温泉に出かけリラックス。

Benoist Husson ブノア・ユッソン
ブランドマネージャー。広告業やライター業などを経てビジュアル宣伝・写真撮影担当に。サンプルのフィッティングモデルとしても大活躍。

問い合わせ先/POULSOFFICE TEL:03-5327-7081
MONSIEUR LACENAIRE  www.monsieurlacenaire.com



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ムッシュー・ラスネール フランス発、ユーモアと洗練のニット

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