本誌では書けなかった裏エピソード

男たちが練り歩く、毛越寺の二十日夜祭り。

担当:編集T
世界遺産名:平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―

Penの世界遺産特集、平泉編は今年1月20日の「延年の舞」を取材しました。

この延年の舞の直前に行われるのが、二十日夜祭りの献膳行列。厄年の男たちが裸でたいまつを持って平泉駅~毛越寺常行堂まで練り歩き、最後には堂内にお供えものをするのですが、このお祭りのクライマックスは本堂で行われる「蘇民袋の争奪」。蘇岩手県各地に伝わる奇祭、蘇民祭りに習ったものです。

しめやかにおこなわれていた常行堂の護摩焚きが終わりかけると、本堂に裸の男たちが乱入し、常行堂の梁や柱によじ登り、蘇民袋を争奪します。見事、蘇民袋を奪取した男が今年の年男に。その迫力と熱気で毛越寺は一気に盛り上がります。

参加する厄年の男たちは昼過ぎから予行演習をし、お神酒を各所でもらいテンションを上げていきます。夜になり平泉駅からの行列が始まるころには、寒さも感じないほどのテンションになっているそうです。祭と舞が魔多羅神に捧げられる、毎年1月20日は平泉とって特別な1日なのです。