親方のいなせな佇まいに惚れこむ、舞台のような鮨店。

森岡書店銀座店から歩くことわずかに1分、森岡さんは緑青が美しい銅板葺きの建物へと案内してくれました。「鮨 石島」と書かれた暖簾をくぐると、「いらっしゃいませ」とよく通る声が出迎えてくれます。声の主は親方の石島吉起さん。森岡さんは、石島さんの気っ風のいい佇まいに惚れこんでいるといいます。
「初めて石島さんにお邪魔した時に、あらためて銀座はすごい街なんだと感じました。鮨が美味しいのはもちろんのこと、石島さんの手さばき、声の張り、器の美しさ、店内のしつらえ、どれをとっても素敵で、まるで総合芸術のようなんです」
カウンター席に座ると、まるで劇場にいるような気持ちになるという森岡さん。たしかに、ヒノキの無垢材でつくられたカウンターは舞台のように石島さんの所作を引き立てます。会話を楽しんでいたかと思えば、石島さんがおひつに手を伸ばすと森岡さんの目もそちらに向かいます。
「包丁さばきの美しさに目を奪われ、鮨が出てくると今度はネタの美しさに目を奪われます。一連の動作を見ていていつも思い出すのは狂言の舞台。カウンター越しに見えるその身体性が素晴らしい。いなせというのはこういう人のことを言うんじゃないかな」と森岡さん。手元が見えるつけ場もまた、その潔さを感じる魅力のひとつ。手の内をすべて見せる逃げ場のないなかで、その美しい所作を客は楽しむことができるのです。
「北大路魯山人は自らが愛した鮨屋の久兵衛を、なにより人間的魅力に惹かれて会いに行くのだと書いています。私はそういう意味で石島さんに会いたい。話をしたい。動作が見たい。いなせな声が聞きたい。ぜひ訪れてみてください。石島さんにまた会いたいと思うはずです」

鮨 石島

東京都中央区銀座1-24-3
TEL:03-6228-6539
営業時間:11時30分〜14時、18時〜23時(月~金) 17時30分〜22時30分(土)
定休日:日、祝

www.sushi-ishijima.com
森岡書店店主・森岡督行さんが案内する、もうひとつの銀座。

次号予告

縄文土器から現代アートまで、語れるネタを伝授します。

超おさらい! 日本美術史。