京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。

第2回 職人の手仕事編

昨年12月の京都特集連動企画に登場した「京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。」では、長い歴史を誇り、文化と芸術の中心地である京都で、ひとり旅でぜひ訪れてほしい、道具とインテリアの店を紹介しました。この「古い道具編」が大好評につき、今回は第2弾として「職人の手仕事編」をお届けします。京都といえば職人、独特なセンスや技術が生み出す逸品に出合いにいってはいかがでしょうか。

写真・蛭子 真 文・小長谷奈都子

KIJIRUSHI

元美容室を改装した自然光がたっぷり入る空間。オリジナル家具や雑貨のほか、SOLSのデッキシューズやヴィンテージランプなどセレクトアイテムにもセンスが光る。

畳めば直径35mmに収まる折り畳み椅子「トリニティ」。キャンプやピクニックに活躍。全3色。各¥24,840

ナラ材×ウォールナットの「カッティングボード」(S)¥7,344、(L)¥9,180 メイプルのクロス型「なべ敷」¥3,240

北区にある紫竹は、感度の高いお店が点在する注目エリア。木工職人の溝上吉郎さんが独立10周年となる昨年6月に開いたオンリーショップ「KIJIRUSHI」は、その代表的な一軒です。無垢のナラ材をメインに使ったオリジナル家具や雑貨は、シンプルで機能的なデザインと、使うたびに風合いを増す木の温もりが魅力。「素材の質感が好きなので、その持ち味を大切にしたい」と溝上さん。まずは、人気アイテムのクリップボードやコーヒーフィルターホルダー、なべ敷などでその使い勝手を試してみては? 服や靴、小物、雑貨など、心地よい暮らしに寄り添うセレクトアイテムも要チェックです。
キジルシ
京都市北区紫竹上緑町26−1
営|11時〜17時
休|不定休(HPで要確認)
☎|075-406-7206 www.kijirushi.net

自然素材のフォルムや風合いを活かしたデザインが美しい。内側は錫の蒔地仕上げ。「摺り漆 蒔地 酒器セット」(徳利、お猪口2個)¥17,280、左の「生地のお猪口」¥5,940

外観や内装にも竹をふんだんに採用。菓子器や花器、照明、アクセサリーとさまざまな竹製品が並ぶ。

茶杓をつくる職人が手がけた繊細な仕上がりの耳かきはお土産にも。「いぶしすす竹の耳かき」¥2,160

良質な竹の産地・長岡京に工房を構える「高野竹工」。竹林を整備・管理するところから携わり、漆、指物、蒔絵などさまざまな技術をもつ職人が、竹や木を使った多彩なアイテムをつくり出しています。そのアンテナショップとして2014年に祇園に登場したのがこちらの「篁(たかむら) 」。竹と土壁の意匠が美しい和の空間に、竹に精通する熟練の職人技で美しく仕上げられた、茶道具から日用品までのアイテムが並びます。なかには千利休作の唯一現存する茶室として知られる待庵の古材を使った茶箱、金閣寺の古材を使った酒器なども。和紙職人や料理研究家とのコラボレーションといった、今後の展開も楽しみです。

京都市東山区中之町238−1 東山祇園ビル1-A
営|12時〜19時
休|火
☎|075−531-6881 www.takano-bamboo.jp

鍛金工房 ウエストサイド33

美しい佇まいのワインクーラーは飲食店にも人気の逸品。お酒の時間をより豊かに演出してくれる。「アルミのワインクーラー」¥19,800、「カップ」(大)¥4,500、(中)¥3,900

工房&ショップのオープンは1994年。2年前に改装し、店舗を拡大。現在工房は京都南部の久御山町に。

大小揃うアルミの片口の雪平鍋がいちばんの人気商品。素材やサイズなど幅広い品揃えに目移りする。

国内外のプロの料理人が愛用する「鍛金工房 WEST SIDE 33」の調理器具。鍛金とは金属を金槌で打ち、形をつくる伝統的な加工技法のこと。三十三間堂の西側に位置するショップには、看板商品のアルミの雪平鍋から銅鍋、カトラリーなど、幅広いアイテムが並びます。「お客様の注文に『できません』と絶対言わんとこうと、金属ものでいろいろつくってきた」という鍛金職人・寺地茂さんはこの道70年の大ベテラン。いまでは3代目の伸行さんがその技を受け継いでいます。食の都・京都で磨きあげられた、抜群の使い勝手と無駄のない美しいフォルム。大切に手入れしながら使えば、愛着もひとしおです。
鍛金工房 ウエストサイド33
京都市東山区大和大路通七条下ル七軒町578
営|10時〜17時
休|火
☎|075-561-5294

桶屋近藤

1枚の木からできたような木目や色が美しい。「吉野杉1寸7分縦型ぐい呑」¥17,280、「椹コップ」(中)¥18,360など。タガの素材も銅、銀、竹などバリエーションがある。

ごはんをおいしく保存するおひつは先人の知恵の賜物。「7寸の五合入り椹のおひつ」¥42,120

何百という細かい道具を使いこなす近藤さん。不定期に参加する催事はFacebookでチェックして。

かつて京都だけで200軒近くあった桶屋も、現在は数軒しか残っていません。人間国宝の木工芸家・中川清司氏に師事した近藤太一さんの工房はそのひとつ。杉や高野槇など、おもに針葉樹を使ってていねいに仕上げる桶やおひつ、酒器には凛とした清々しさが漂っています。「きれいな器をつくることは長く使えることにつながっています。大事にしているのは正直につくること」と近藤さん。古い桶やおひつの修理にも可能な限り対応しているそうです。すべての工程をひとりで行っているため、訪問の際は事前に連絡を。本山佛光寺の「D&DEPARTMENT KYOTO by 京都造形芸術大学」や「京都岡崎 蔦屋書店」でも取り扱いがあります。
桶屋近藤
京都市北区紫野雲林院町64−2
営|9時〜17時
休|土、日、祭
☎|075-411-8941 www.oke-kondo.jimdo.com