海外の日本車好きに訊く、僕らが古い日本車にはまった理由。【イギリス編】

  • 写真:Misa Watanabe
  • 文:Michiko Kagawa

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海外の人々にとって日本車は「輸入車」。自動車に対する価値観も異なる。我々とは違う古い日本車の楽しみ方を、「アメリカ」「イタリア」「イギリス」で探った。




レストアして改造した愛車でも、甘やかさない。

ジャック・グッドイヤー/サマセット州 (イギリス) 国防省に納める戦闘機や戦車のコンポーネント制作に携わった元エンジニア。現在は精密さを活かせるTVのCMや映画舞台セットなどの制作を行う。バイクやクルマのメカに強く、レストアと改造はお手の物。自らパーツまでつくってしまうほどで、緻密な作業も得意。

「これこれ、この音!」。草原が広がる静かな村に轟きわたるエンジン音に、ご機嫌そうなジャック・グッドイヤー。

彼の愛車は1974年式「ダットサン260Z」。だが、その内容は過激だ。直列6気筒の280ZXエンジンに換装し、キャブレターはスロットルレスポンスを重視するため、カワサキのバイク「ZZR1100」用キャブレターを使用。インマニを改造し、無理やり装着している。

英国西部のブリストルから30分の小さな村に住むジャック。28年前に購入した「ダットサン260Z」は、実は2台目。「パフォーマンスに惚れているから、ダットサン260Zは何台所有しても飽きない」と絶賛する。

エンジン載せ換え、内装取り付け、キャブレター装着、車体の塗装などすべてを自ら行う。さすが国防省の元エンジニアだ。何年もかけレストアし、再度魂を吹き込むが、レストアが済んでも車庫にしまい込むことはない。

毎朝、曲がりくねる田舎道を飛ばし、スポーツカーの醍醐味を体感しているジャック。彼の緻密な作業と創造力が融合された“スペシャル・ダットサン260Z”は、今日も田舎町で轟音を響かせている。

直列6気筒の280ZX用のエンジンに装着されるキャブレターはなんとカワサキのバイク「ZZR1100」用のもの。高いパフォーマンスと俊敏なスロットルレスポンスを手に入れ、燃費も上々。このキャブレターのためのマニホールドは、自分で溶接してつくったワンオフ。

自宅のガレージは、12台のバイクの保管と旋盤や修理用の機械が占領していてクルマは入らなくなってしまった。精巧なパーツをつくるための機械が何台も揃っている。

「ノートン」「トライアンフ」「トライトン(ノートンのフレームにトライアンフのエンジンを搭載)」「カワサキ」などヴィンテージバイクを12台所有。入手不可能なパーツは手づくりし、忍耐強く何年もかけてレストア。現在8台が仕上がり、残り4台はレストア中。

こちらの記事は、Vマガジン Vol.02「世界に誇る名ヴィンテージ こんな日本車を知っているか?」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから。