日産自動車、伝説の名車を振り返る。【ダットサン12型フェートン1200 編】

  • 撮影:谷井功
  • 文:清水雅史(モンキープロダクション) 協力:日産

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日本車のヴィンテージを語るときにかかせないブランドといえば「日産自動車」だろう。戦前の「フェートン」からレーシングカー「R91CP」まで「伝説の名車」を7台紹介する。

ダットサン12型フェートン 年式:1933年|型式:12型|全長:2770mm|全幅:1190mm|ホイールベース:1980mm|トレッド(前/後):980/1016mm|車両重量:500kg|エンジン:水冷直列4気筒サイドバルブ|排気量:748cc|最高出力:9kW(12PS)/3000rpm| サスペンション(前/後):横置リーフ / 縦置リーフ|ブレーキ(前/後):ロッド式ドラム / ロッド式ドラム|タイヤ:4.00-24(外径表示)バルーン

クルマを生活の当たり前にするため、誕生した「小型乗用車」。

日産自動車の創業は、「自動車製造株式会社」を横浜に設立した1933年12月のこと。この「ダットサン12型」は、当時製造されていた日産最古のモデルである。じつは会社の設立にいたるまでには前史がありダットサン乗用車はダット自動車製造のもとで32年に登場している。その流れを汲んだ12型の登場は、33年8月に改正された自動車取締令が関わっていた。全長22.8ⅿ、全幅1.2ⅿ、排気量750cc以下のクルマを「小型自動車」とし、運転免許は16歳以上なら申請を行うだけで取得ができるようになったのだ。そして12型は、無試験枠内で乗れる“手軽なコンパクトカー”として33年10月に発売された。

直立したウインドスクリーンが時代を感じさせる。35年に量産が始まった14型ではフロントウインドーは寝かされ、よりモダンになった。インパネには積算計を収めた速度計、油圧計、電流計を配置。

日産ヘリテージコレクションに収蔵されるこの個体は、「フェアレディZの父」として知られる故片山豊が1950年代に探し出し、レストアしたもの。ダット自動車製造が開発した4気筒サイドバルブ式エンジンの排気量は、当時の小型自動車枠に収まる748ccで、最高出力12PSを発揮。

魅力的なラインアップで、より多くの人々のもとへ。

ここに紹介する2列シートをもった幌付きオープンの「フェートン」のほか「セダン」「クーペ」「ロードスター」「ライトバン」を販売。さまざまな要望に応えるラインアップを用意し、自動車を日本中に広めようという気概がうかがえる。その後34年に日産自動車へと社名を変更すると、翌年には年産1万台規模の本格的な量産を可能とする横浜の新工場が稼働し、ダットサン14型の生産が始まった。クルマをより身近なものにしたいという夢は、しっかりと受け継がれていったのである。

こちらの記事は、Vマガジン Vol.02「世界に誇る名ヴィンテージ こんな日本車を知っているか?」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから。