日産自動車、伝説の名車を振り返る。【CIMA編】

  • 写真:谷井功
  • 文:清水雅史(モンキープロダクション) 協力:日産

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日本車のヴィンテージを語るときにかかせないブランドといえば「日産自動車」だろう。戦前の「フェートン」からレーシングカー「R91CP」まで「伝説の名車」を7台紹介する。今回はあの「シーマ」をピックアップ。

セドリック シーマ タイプⅡ リミテッド| 年式:1988年 | 型式:FPY31型 | 全長:4890mm | 全幅:1770mm | 全高:1380mm | ホイールベース:2735mm|トレッド(前/後):1500/1520mm | 車両重量:1640kg | エンジン:VG30DET型 水冷V型6気筒DOHC4バルブ・ターボ | 排気量:2960cc| 最高出力:187kW(255PS)/ 6000rpm | 最大トルク:343N・ⅿ(35.0kgm)/3200rpm|サスペンション(前/後):ストラット / セミトレーリングアーム(独立)|ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク | タイヤ:205/65R15 93H

日本の高級車が進む道を示した、まったく新しい「ビッグカー」

日本独自の美的感覚を湛えながら、伸びやかで優美なスタイルを纏った初代「シーマ」は、国産車にはなかった大型サイズの高級車だった。メルセデス・ベンツやBMWなどが占めていたマーケットへ果敢に挑戦したわけだが、ドライバーズカーとして目を見張る走行性能も実現し、新しい日本のプレステージカー像を提示したのである。

1987年の第27回東京モーターショーに出品されると、シーマは翌年1月に発売。3ナンバー専用ボディに国産初のV6DOHCターボエンジンを組み合わせ、路面の変化やクルマの挙動に合わせて減衰力などを切り替える電子制御エアサスペンションも採用したシーマはあこがれの存在となり、88年だけで3万6千台を販売する大ヒット作となる。

景気だけではない、クルマとしての総合力が成功を呼んだ。

さらに89年には消費税の導入とともに物品税が廃止されると値頃感が高まり、折からの好景気もあいまって91年まで好調な販売が続くのである。シーマの爆発的な人気は3ナンバー車ブームの契機にもなり、経済誌が「シーマ現象」と報じるほど注目される社会現象となった。

初代シーマの成功は、時代の流れに乗ったという側面もあるだろう。けれどそれだけにとどまらず、スタイリング、性能そしてステータス性という高級車としての総合的な価値が秀でていたからこそ、シーマは多くのカスタマーを惹きつけ、新たな道を切り開くことができたのだ。

センターピラーのない4ドアハードトップデザインを採用したシーマは、開放感のある室内空間を実現。オートクルーズ、オーディオ、エアコンの操作が行える光通信システムや、音質を追求したオーディオシステム、PROアコースティックサウンドなど先進技術を数多く採用。

初代はセドリックシーマ/グロリアシーマとして発売され、2代目よりシーマのみの呼称となる。パーソナルユースを想定した高級車ゆえ、ステアリングを握れば卓越した走りを堪能できるよう上級グレードには255PSを発揮するVG30DET型、3ℓV6DOHCターボエンジンを搭載。

こちらの記事は、Vマガジン Vol.02「世界に誇る名ヴィンテージ こんな日本車を知っているか?」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから。