日産自動車、伝説の名車を振り返る。【ブルーバード 1200 編】

  • 撮影:谷井功
  • 文:清水雅史(モンキープロダクション) 協力:日産

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日本車のヴィンテージを語るときにかかせないブランドといえば「日産自動車」だろう。戦前の「フェートン」からレーシングカー「R91CP」まで「伝説の名車」を7台紹介する。

ダットサン ブルーバード 1200 | 年式:1959年 | 型式:P310型 | 全長:3860mm | 全幅:1496mm | 全高:1480mm | ホイールベース:2280mm | トレッド(前/後):1209/1194mm | 車両重量:870kg | エンジン:E型 水冷直列4気筒OHV | 排気量:1189cc | 最高出力:32kW(43PS)/4800rpm | 最大トルク:82N・m(8.4kgm)/2400rpm | サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン・コイル / 半楕円リーフ | ブレーキ(前/後):ドラム/ドラム | タイヤ:5.60-13 4P

ブルーバードというネーミングは、メーテルリンクの童話『青い鳥』にちなんだもの。ここに紹介する初期の310型のほか、中期の311型、後期の312型に分けられるが、初期モデルはテールランプの形状から「柿の種」と親しみを込めて呼ばれた。

「フェアレディZ」「シルビア」の礎になった、傑作。

国情や道路事情に即した、使いやすいコンパクトカーを日本に広めるべく登場した「ダットサン乗用車」。1959年に発売された初代「ブルーバード(310型)」は、その直系であり、理想とする次世代乗用車を世に送り出すという高い志をもって開発された。戦後の一時期、ダットサン乗用車の進化は停滞したが、オースチンとの提携で小型車づくりを学び、プレス成形のオールスチールボディを採用した110型、日産初となるOHVエンジン搭載の210型を経て、満を持しての登場だった。

前輪独立懸架サスペンションによる快適な乗り心地。旧式なトラック用梯子型フレームを捨てて成し得た軽量化と低重心化。そして新型OHVエンジンの搭載といった先進性を、伸びやかなスタイリングで包み込んだブルーバードは、瞬く間にクラスのトップブランドになった。

幸せを運ぶ青い鳥は、世界へはばたいた。

発売後、63年までに累計21万台を生産。そのうち3万台以上が約40カ国へ輸出され、ダットサンの優秀性を初めて世界へ知らしめる役割も果たす。さらに、その主要コンポーネントをベースにして、日本初の本格的スポーツカー、ダットサン・フェアレディ(SP・SRシリーズ)や初代シルビアなどの先駆的モデルが誕生。310型は、日産の飛躍を牽引した歴史に残る名車である。

こちらの記事は、Vマガジン Vol.02「世界に誇る名ヴィンテージ こんな日本車を知っているか?」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから。