『湾岸ミッドナイト』に国産チューンド伝説再び⁉ 新型ス...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第94回 TOYOTA SUPRA RZ/トヨタ スープラ RZ

『湾岸ミッドナイト』に国産チューンド伝説再び⁉ 新型スープラで、終わりのないドラマを手に入れる。

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

1000馬力を超えるモンスターマシンを彷彿とさせるエクステリア。

17年ぶりに復活したトヨタ スープラ。BMWとの協業とはいえ、国産スポーツカーの大いなる遺産が新型になって復活したのは最高すぎるよね。首都高湾岸線、80スープラで最高速チャレンジとか1990年代の夢……。スープラは国産チューンド最強の時代を彩る一台だった。
新型は2019年版スープラを主張するエクステリアで武装し、大人のロードスターとしてほぼ完璧にスタイリングされた兄弟車、BMW Z4とは棲むべき世界がまるで違っている。エンジンとシャーシ、ホイールベースが一緒だから基本的な特性は一致するものの、ノーマルのスープラはオーナーの好みでいくらでも進化できる伸びしろをもたせた、あくまでもベースモデルという考え方なんだ。視界が狭いフロントガラス、強靭な剛性を誇るボディと、チューンアップされてモンスターマシンに生まれ変わった“その後”も想定しているような好戦的なデザインが、トヨタの企みを感じさせる。
最初、その姿をニュースで見た時は思わず「旧型ザクかよ……」と絶句したものの(笑)、東京の街中で駐車している新型スープラを見ると「これぞ国産チューンドの決定版」と言える、痺れるようなカッコよさに気づかされるんだ。先代の丸みを帯びたボディ形状を引き継ぎつつ、エアロフォルムをくどいほど強調して、H・R・ギーガーのクリーチャーよろしくなまめかしい有機的なキャラクターを創出。デザインというよりモデリングの巧みさで、見る者の目を奪う。
「羊の皮を被った狼」とはかつて国産スポーツカーによく使われていた表現なんだけど、新型スープラは最初から、狼まるだし(笑)。このもはや行き着いた感のあるモデリングを追いかけるように、オーナーはカスタムチューンへと誘われるんだ。

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