東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第89回 JAGUAR I-PACE FIRST EDITION / ジャガー Iペイス ファーストエディション
エレキテルな時代のエレキング⁉ジャガーのIペイスで、E Vパレードに出かけよう。
ジャガーからフルバッテリーの電気自動車(BEV)、Iペイスが登場した。並みいる欧州系高級車メーカーにあって、大人5人がしっかり乗れる中型SUVであり、市場の“ど真ん中”とも言えるEV一番手はジャガーだった。結論から言うと、Iペイスのポテンシャルの高さに「EV最高かも⁉」って気分にさせられたよね。エンジン、ハイブリッドとそれぞれのよさと楽しさがある中で、EVは独自の魅力をもった高性能車として、完全に選択肢に入ってきたんだ。
外観は腰高になったセダンのようなクロスオーバーSUVスタイルで、まるでEVを主張していない。うっかり直4ディーゼルモデルでラインアップに入ってきたような、さりげなさがいい感じ(笑)。見れば見るほど、「これって、かつてないデザインってことじゃないか⁉」って気もしてくる。サナギから蝶に羽化しかけているような、過程のデザインって感じだよね。
運転してみると、このスタイリングも腑に落ちる。EVを特別視することなく、ジャガーのクルマづくりの延長で捉えているのがよくわかるんだ。まずその車体なんだけど、Iペイスは現行車種で最もねじり剛性の高い、強靭なボディを与えられている。コンパクトSUVのEペイスもそうだし、昨今のランドローバーもそうなんだけど、始めにとにかく高い剛性を誇るボディありき。このお約束があるから、重いバッテリーを車体のいちばん下に搭載する、超低重心なEVの魅力を最大限まで引き出せるわけ。
完全に選択肢に入った、EV仕様の高級SUV
驚くのは峠の下りだね。4駆のスーパースポーツを運転してるんじゃないか、というぐらいの路面の張り付き方でプッシュできる。アクセルを全開にすれば、4LV8ツインターボのような加速感。この車重2.5t(総重量)の巨漢を、強力な回生ブレーキでワンペダル・コントロール。右足ひとつで、パワーもブレーキもかからないニュートラルな感覚をマスターしたらもうご機嫌で、さらに左足ブレーキのアシストも入れてみる。完全なEVとはいえ、その魅力はエンジン車とシンクロするからライバルは明確だし、比較も成立する。Iペイスの走りに関するデメリットは、重さだけだね。
航続距離は438km(国土交通省審査値)で十分。週末に400kmぐらい走ってみたんだけど、エアコンとオーディオをガンガン使っても電費はほとんど気にならなかった。というのも峠の上りでもないかぎり、この状態であと何km走れるというメーター値と、実際の走行距離がだいたい合致するから安心して使えるんだな。急速充電も便利で、30分で100kmを超えるぶんぐらいは確実にチャージしてくれるから、休憩代わりに気軽に充電できた。
ただ設置機種によって時間当たりの充電量が変わったりするし、都内の急速充電器を設置しているところって、ディーラーを除けば有料駐車場内がほとんどだったりする。充電に駐車料金がかかるのはいただけないよね。充電のたびに買い物というのも、「カーダシアン・ファミリーじゃないんだから」って感じ(笑)。給電だけのスタンドが欲しいけど、それだけだと商売にならないから、他にどんな付加価値をつけるかというのは、土地代の高い都内では面白いビジネスになる気がする。まぁともかく、こんな感じで新鮮な気づきがあるから、まずは乗ってみることをお薦めしたいね。
●モーター:永久磁石同期式電動モーター
●バッテリー:パウチセル型リチウムイオン電池
●最高出力:400PS/5000rpm
●駆動方式:4WD(4輪駆動)
●車両価格:¥13,120,000(税込)
問い合わせ先/ジャガーコール
TEL:0120-050-689
www.jaguar.co.jp