見つけたら迷わず買おう! 人気沸騰の北海道産。
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鹿取みゆき・選&文  尾鷲陽介・写真

見つけたら迷わず買おう! 人気沸騰の北海道産。

ノラ・ブラン2017 農楽蔵

亜硫酸を加えない、野生酵母での発酵、無ろ過…….。ワインづくりにおけるこうした方法を、函館にあるワイナリー、農楽蔵の佐々木賢さんと佳津子さんは「リスキー三兄弟」と呼ぶ。というのも、これらの方法はさまざまなリスクを伴うからだ。

たとえば、亜硫酸を加えないとどうなるのか。「作業一つひとつがワインに大きく影響します。たとえば、十分な選果をせずに発酵させた場合、意図しない微生物の増殖によって味わいや香りに影響を及ぼす可能性が高くなります。また発酵後、万が一ワインが酸化しすぎてしまったとしても、それを元の状態に戻すことはできません。教科書に載っていない現象に直面して、初めて考えなければならないこともたくさんあります」。とふたりは語る。

しかし、賢さんと佳津子さんは、あえてこれらのリスクを負うワインづくりをしている。「問題が起きた時には、短時間で原因を割り出して対処しなければなりませんが、知識や経験の引き出しを数多くもっていれば、こうしたつくりに挑戦できると思っています」と賢さん。ふたりは、フランスでワインづくりを学んだ。賢さんはフランスのブルゴーニュ大学の醸造技師とフランス国家認定の農業上級免状を取得、佳津子さんはフランス国家認定の醸造士の資格をもっている。知識や経験は膨大なものなのだ。

ではなぜ、リスクを冒してこうしたワインをつくるのか。「僕たちは、1杯で満足するワインよりは、1本まるごと楽しめるワインをつくりたいのです。ワインを口に含んだ時から飲み込んだ後の余韻まで、きれいに繋がるピュアな味わいのワインです」と口を揃える。こうした挑戦を続けて、現在は、次のステージをイメージできる段階に来たという。

農楽蔵の主要銘柄のひとつ「ノラ・シリーズ」は、熱烈なファンも多い人気の銘柄だ。生産数も少なく、発売するとすぐ売り切れてしまうほど。今回紹介するのは、その中でも彼ら自身が栽培しているブドウでつくった白ワイン「ノラ・ブラン」。北海道産の冷涼な地域のブドウでつくったワインだと予想して飲むと、口中に広がる熟した果実味に驚く。少しとろりとしているが、口に含んで飲み込むまで引っかかるものはなにもなく、喉に残る果実味がなんとも心地よい。まるで果物を食べているような印象だ。ピュアな果実味とはなるほどこういう味わいだと頷ける一本だ。

猫の絵柄のエチケットが目印。「自然派ワインを突き詰めていくと、日本でつくって日本の飲み手に届けることに行き着く」と賢さんと佳津子さん。流通環境が改善したとはいえ、輸送には当然リスクを伴う。ワインがつくられた場所から飲み手までの輸送距離が短いことは、大きなアドバンテージなのだ。

ブドウ畑。こうしたワインづくりをするのは、味わいだけが理由ではない。後の世代に責任をもって、土地や環境を引き継ぎたいという願いもある。栽培は化学合成農薬や除草剤の不使用が大前提。2018年には新たに土地を借りて、防風林を兼ねた果樹を植えた。プルーン、梨、リンゴ、桃、栗、クルミ、カキ、サクランボ、ハスカップ、ブルーベリー、そしてブドウなどが混在した農園をつくるそうだ。また、このようなワインづくりを続けていくために、同じ志をもつ周囲の人たちとの連携も築いている。チーズの生産者の山田農場、養豚のあかり農場とは、ともに地域内で循環型農業を始めている。

自社管理面積/約2.5ha
栽培醸造家名/栽培責任者:佐々木賢、醸造責任者:佐々木佳子
品種と産地/シャルドネ(北海道渡島地方北斗市)
ワインの容量/750ml
価格/¥3,850(税込)
つくり/ブドウは房のまま時間をかけてゆっくりとプレス。約1日静置した後、野生酵母で発酵。樽で11カ月間熟成させる。無補糖、無補酸、酵母添加無し。無ろ過・無清澄。自社農園のシャルドネを100%使用しているが、先入観をもたれないように、ラベルにはあえてそれを記していない。
栽培/化学合成農薬、除草剤は不使用。石灰硫黄合剤は春1回、ボルドー液を年に6~7回撒く。近所から産出する石灰岩を圃場全体に、表土が薄く生育が悪い箇所に堆肥を撒く。雑草は自然な植生で草刈りは年2回。
問合せ先/nora@nora-kura.jp

※ノラ・シリーズは「農楽蔵による、個性のワイン」。賢さんと佳津子さん2人がブドウと向き合い、インスピレーションを受け、「ああしたい、こうしたい」を存分に表現したワイン。ノラ・ブランはこのシリーズの中のレギュラーなアイテム。他にレギュラーアイテムとして、ノラ・ルージュ。イレギュラーなアイテムとしてノラ・ルージュ・ゼロ、ノラ・ブラン・フミヅキがある。

※ノラ・ポン・シリーズは「土地による、個性のワイン」。2人がブドウと向き合い、インスピレーションを受け、「北海道のブドウは、ああだこうだ」と考えてつくったワイン。「フランス風に言えば、AOC北海道」。

※この連載における自然派ワインの定義については、初回の最下段の「ワインは、自然派。について」に記載しています。さらに毎回極力、栽培・醸造についての情報を開示していきます。       

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