芸術の秋が本格化する一方で、会期終了が迫る展覧会も少なくない。気になっていたのに、まだ足を運べていないという人もいるだろう。今回はPen Onlineで紹介した展覧会のなかから、まもなく会期終了を迎える注目の3展をセレクト。デザイン史を変えた巨匠の回顧展から、南極の謎に迫る体験型展覧会、そして西洋美術史に大きな影響を与えた版画家の世界まで、この秋に見逃したくない展覧会を紹介する。
1.デザインの常識を覆した巨匠の創造力に触れる
『エットレ・ソットサス ― 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる』(アーティゾン美術館)
『エットレ・ソットサス ― 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる』の展示風景。手前は世界中で愛された『ヴァレンタイン』。20世紀イタリアを代表する建築家・デザイナー、エットレ・ソットサス。その日本初となる大規模回顧展が、東京・京橋のアーティゾン美術館で開催されている。鮮烈な赤色で知られるタイプライター「ヴァレンタイン」、デザイン集団メンフィスを象徴する家具「カールトン」など、デザイン史に名を刻んだ名作が一堂に集結。機能性だけを追求するのではなく、人の感性や想像力を刺激するソットサスの哲学を、100点を超える作品からたどることができる。家具でありながら彫刻のようでもある独創的な作品群は、アートとデザインの境界を軽やかに越えていく。色彩とユーモアに満ちた世界に浸れば、身の回りのモノを見る視点もきっと変わるはずだ。
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2.火星の隕石から南極飯まで、地球最果ての世界を体験
特別展『大南極展』(日本科学未来館)

日本の南極観測開始から70年。その歩みと成果を体感的に紹介するのが、日本科学未来館で開催中の特別展『大南極展』だ。会場では、本物の南極の氷に触れられるほか、数十万年前の空気を閉じ込めた深層アイスコアやペンギンの標本を展示。さらに、世界の隕石の約60%が発見されるという“隕石天国”南極にちなみ、火星由来の隕石に触れられるコーナーも用意されている。観測基地での暮らしを紹介する展示もユニークだ。観測隊員たちを支える「南極飯」や昭和基地の日常を知ることで、過酷な環境のなかで続けられてきた研究活動のリアルな姿が見えてくる。科学好きはもちろん、大人も子どもも夢中になれる内容だ。
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3.ゴヤやピカソも学んだ、版画家レンブラントの真価
『版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト』(国立西洋美術館)

レンブラントと聞くと油彩画を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし、彼は版画表現を革新した天才でもあった。その魅力に迫る展覧会が、上野の国立西洋美術館で開催されている。アムステルダムのレンブラント・ハウス美術館との共同企画により、約130点が集結。自由自在な線描や巧みな光と影の表現によって、レンブラントがエッチングにもたらした革新性を紹介する。 さらに見どころは、後世への影響まで視野を広げている点だ。ゴヤやマティス、ピカソらがレンブラントから何を学び、どのように自らの表現へ昇華したのかをたどる構成は圧巻。ひとりの芸術家から広がった創造の系譜を体感できる。
デザイン、科学、そして西洋美術史。それぞれ異なるテーマを扱いながら、いずれも知的好奇心を刺激してくれる展覧会ばかりだ。会期終了まで残された時間はわずか。この秋は、美しいものや未知の世界との出会いを求めて、美術館や博物館へ足を運んでみてはいかがだろうか。


