【火星の隕石に触れる】南極の氷、ペンギン、南極飯まで…体験型『大南極展』が開催中|日本科学未来館

  • 文&写真:はろるど
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特別展『大南極展』会場風景より、手前には「宗谷」や「ふじ」、それに現在の新「しらせ」など、歴代の日本の南極観測船の模型が展示されている。

1956年、「宗谷」に乗った第1次南極地域観測隊が観測を開始してから70年。日本が南極で積み重ねてきた歩みと成果を、貴重な資料や標本、映像、そして体験型の展示を通して紹介する展覧会が、東京・お台場の日本科学未来館で開催されている。子どもから大人まで思わず夢中になる、その見どころを紹介したい。

南極の氷に触れ、アイスコアで地球の歴史を知る

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『ドームふじアイスコア』展示風景 34万年前の空気を閉じ込めた深層アイスコアの実物。普段は研究所に大切に保管されているため、外で公開されるのは極めて珍しい。

「ミッションシート」を受け取り、複数の「隊長スポット」を巡って南極観測・研究にまつわる課題に取り組み、達成すると「特別南極観測隊員」に認定される本展。まず本物の南極の氷を手で触れてから、会場へと進んでいきたい。「氷の大陸」とも呼ばれる南極を覆う氷は、もともと大陸に降り積もった雪。それが数万年という長い年月をかけて押し固められて出来ている。溶けてプチプチと音を立てて飛び出すのは、まさに太古の空気だ。

ひんやりと冷たい氷で南極を体感したら、広大な観測エリアへ。ここでも「深層アイスコア」と呼ばれる南極の氷をぜひ見ておきたい。過去の空気や火山灰まで閉じ込められた氷は、地球の歴史を刻む貴重な年表。南極内陸部のドームふじ観測拠点では、これまで2回、約34万年前と約72万年前の深層アイスコアを採取することに成功した。そして3回目となる現在は、推定約2735メートルに及ぶ氷床の底、実に100万年以上前の氷を目指して掘り進められている。

オゾンホールの発見と、南極に生きる命の営み

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特別展『大南極展』会場風景 生き物エリアでは、ペンギンやアザラシの標本が展示されている。

日本の南極観測がもたらした、世界的に重要な科学的知見とは?それが1982年に南極上空でオゾンが減少していることを突き止め、2年後に世界で初めて発表された「オゾンホール」である。この発見は、フロンなどオゾン層破壊物質を国際的に削減する契機となり、その後の取り組みによって南極のオゾン層は少しずつ回復しつつある。さらに昭和基地では1984年から二酸化炭素の連続観測が続けられており、長期的には確実に増加し続けていることも明らかになっている。

生き物エリアでは、厳しい環境で暮らすペンギンやアザラシの生態を、標本や観察ドームを通して立体的に捉えられる。またあわせて紹介する「ペンギンセンサス」は、営巣地でペンギンの数を毎年記録し、繁殖や個体数の変化を長期的に調査。その方法を分かりやすく体験できる展示もあり、意外と多様で豊かな南極の生態の「今」に迫っている。ペンギンの翼「フリッパー」に触れるのも、他ではなかなか得られない体験で嬉しい。

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“隕石天国”南極、火星の隕石に触れる

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特別展『大南極展』会場風景より、隕石探査エリア。一部の隕石のサンプルは触ったり、持ち上げたりすることもできる。

南極が「隕石天国」と呼ばれていることは、あまり知られていない。白い氷上に黒い隕石が露出するため発見しやすく、氷河の移動によって長年かけて一か所に集まるため、世界の隕石の60%はここで見つかるという。そして会場では約1万7400個にも及ぶ日本の南極隕石コレクションのうち、厳選された約30点の隕石サンプルを展示している。大阪・関西万博で話題を集めた「さわれる火星隕石(スライス)」の実物などを通して、南極と宇宙のつながりを体感したい。

一方、氷床の間から顔を覗かせる岩石は、地球の数億年の記憶を刻んだタイムカプセル。南極大陸の主要部は、アフリカやインドなどとともに「ゴンドワナ超大陸」の時代に形成された古い地質が大半を占めている。それらを読み解くことで、過去の大陸の配置や分裂のプロセスも見えてくるという。採取された岩石や化石、調査道具を通して、大陸移動の歴史に触れながら、大地が語る地球史の謎にも迫りたい。

南極飯の人気メニューをチェック、昭和基地の日常を体感

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特別展『大南極展』会場風景より、昭和基地エリア。昭和基地の食料は年1回「しらせ」で輸送され、越冬隊員一人につき約1.4トン、30人の場合は40トン以上の食料が持ち込まれる。

南極観測を支える隊員たちの生活を紹介した、昭和基地エリアにも目を向けたい。基地での生活に必要な仕事や娯楽の提供のため、観測隊員たちはイベント係やバー係、図書・教養係など、それぞれの係に属して活動。食料は年に1度の補給に頼るため、生鮮野菜は早い時期に底をついてしまうが、農協係がグリーンルームで水耕栽培した野菜を補っている。また、基地で調理隊員が振る舞う「南極飯」の人気メニューもついつい足を止めて読んでしまう。

人間の活動による影響が少ない南極を調べることは、地球全体の環境を理解するうえでも重要なフィールドとなる。そして観測の積み重ねは、温暖化といった気候変動の解明につながり、未来を予測することにも貢献している。東京から昭和基地まではるか14000キロ、日本の37倍の面積を誇る南極大陸には、まだ見ぬ謎と魅力が眠っている。アイスコアからペンギン、隕石、そして南極飯など、幅広いテーマが凝縮された特別展『大南極展』を通して、その扉を開いてみたい。

特別展『大南極展』

開催期間:開催中〜2026年9月27日(日)
開催場所:日本科学未来館(東京・お台場)
東京都江東区青海2-3-6
開館時間:10時~17時(入場は閉館の30分前まで)
休館日:9/1(火)、9/8(火)、9/15(火)
入場料:大人(19歳以上)¥2,000 他
https://dainankyokuten.jp

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はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。

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千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。