写真を見た瞬間、「CGでは?」と思ってしまうかもしれない。しかし、これらはすべて実在する建築だ。2万8477枚のガラスで覆われた歴史的住宅群、全長1.7kmの空中回廊、標高3000mにそびえる絶景タワー。世界の建築家たちが生み出した驚異のプロジェクトには、想像を超えるアイデアが詰まっている。思わず拡大して見たくなる話題の建築3選をお届けする。
①【天空の絶景建築】標高3000mに浮かぶガラスのタワー、その驚きの正体とは
© Maris Mezulisスイス中部、山岳リゾート・エンゲルベルクを望むティトリス山に、バーゼル(スイス)を拠点とする建築設計事務所「Herzog & de Meuron」が手がけた「ティトリス・タワー(Titlis Tower)」が完成した。このタワーは、標高3000mを超える山頂に立つ高さ56mのアンテナ塔を起点に、展望台やレストラン、ショップを備えた新たな観光施設へと再構成したものだ。2026年5月29日に公式オープンした。1980年代半ばに通信インフラの一部として建設された既存塔を取り壊すのではなく、その鉄骨構造や地下トンネルを残し、新しい用途を組み込んだ点が特徴である。背景には、年間約110万人が訪れるティトリス山の観光インフラを、現代の来訪者に合わせて更新するという大きな構想がある。
既存の塔を「建築」として読み替える
ティトリス山では1967年のロープウェイ開通以来、山頂駅やレストラン、ショップ、氷河洞窟、吊り橋などが段階的に増設されてきた。その結果、施設は複雑化し、収容能力や案内、来訪者の動線に課題を抱えるようになった。Herzog & de Meuronが2017年に依頼されたのは、山頂全体のマスタープランを更新するとともに、既存のアンテナ塔を来訪者の体験へ組み込むことだった。中心となったのが、既存構造を資源に配慮しながら活用する考え方である。
© Maris Mezulis
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②【全長1.7kmの空中回廊】中国・鄭州に出現した巨大建築。「歩く体験」を変える驚きの設計とは

どこまで歩いても終わりが見えない――。そんな錯覚を覚えるほど長く伸びる空中回廊を有する建築物が、2026年6月、中国・河南省鄭州市に完成した。「華中国際コンベンション・展示センター(第2期)(Central China International Convention and Exhibition Centre (Phase 2))」である。約1.7kmにわたる高架の歩行空間は、16の展示ホールと会議センター、275室のホテルを一本の軸で結び、巨大な展示都市をひと続きの空間として機能させる。総敷地面積は約70万㎡。中国中部の新たな国際展示・会議拠点として整備されたこの施設は、建物そのものではなく「歩く体験」を建築の中心に据えたプロジェクトと言えるだろう。
建物ではなく「移動」をデザインする

計画地は、鄭州新鄭国際空港に隣接する鄭州航空港経済総合実験区。中国政府が物流や産業の集積を進める国家レベルの開発エリアであり、大規模な見本市や国際会議を受け入れるための中核施設として整備された。
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③ 【2万8477枚のガラスで覆う家】700年の歴史をもつ住宅群を救った、“透ける建築”の正体

ドイツ南部のロイトリンゲンは、今でも中世の面影を残す歴史と現代が混ざり合った都市だ。ここにある倒壊の危機にさらされた歴史的住宅群を支えるため、新たな建物が建設された。古い家屋を安定させると同時に、現代的デザインが施された博物館として機能しており、建築界で大きな注目を集めている。
最古の住宅群を救え!保存計画始まる

ロイトリンゲンのオーバーアムタイ通り28番地から32番地には、14世紀にまで遡る長い歴史を持つ住宅群が残っている。柱や梁などの木造の骨組みを外側に露出させ、隙間をレンガや漆喰などで埋める中世ヨーロッパの「木骨造り」と呼ばれる様式で、700年に渡る建築と居住文化の軌跡を忠実にたどることができる、南ドイツで最も古い連棟住宅の一つだ。一列になった住宅群全体を支えていたのは、オーバーアムタイ通り34番地にあった「タワーハウス」と呼ばれる巨大な石造りの構造物だった。ところが、この建物は1972年に取り壊され、これにより残りの建物群の位置がずれ、倒壊の危機にさらされていた。そこで、この歴史的住宅群の安定化を図るため、かつてタワーハウスがあった場所に、構造用アンカーとしての機能を果たす建物を建設するプロジェクトが始まった。デザインは、コンペにより選ばれたシュトゥットガルトの設計事務所、ウルフ・アーキテクトン、構造設計は、同じくシュトゥットガルトのstr.uctureが担当した。





