その味わいや香りによって土地の風景を体現するクラフトジン&ウイスキー。南と北、国内の人気蒸溜所の協業で生まれた“ピーテッドジン”の魅力を紐解く。
長崎県、五島列島の福江島。200年以上前に潜伏キリシタンが開拓したというこの島の小さな集落で、大手酒類メーカーを早期退職した男たちがジンづくりを始めたのは2022年のことだ。
「せっかく自分たちでつくるなら、その土地の風景や物語を表現できる酒をつくりたい」。そう話し合い、いくつかの候補地を巡る中で、彼らが出合ったのが海辺の限界集落である半泊(はんとまり)だった。
「福江島に降り立ち、集落での暮らしを見て、島の風景や人々から慈愛の精神を感じました。そこからこの島で、“慈しみのジン”をつくろうと決めたのです」
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そう話す門田クニヒコと共同創業者の小元俊祐は、キリンビールで数々のヒット製品を世に送り出してきたマーケティングや商品開発のプロ。そこにもうひとり、ウイスキーの名ブレンダーとして知られた鬼頭英明が加わり、半泊でのジンづくりがスタートした。
集落の人たちが100年以上にわたり守り続けてきた小さな教会、その隣に立つ五島つばき蒸溜所で行われるのは、まさに素材を慈しむかのような酒づくりだ。
椿の実や油の搾り粕、古くは薬代わりに飲まれていたという椿茶や和紅茶、ゆずや山桃といった地元産の素材をはじめ18種類のボタニカルは、それぞれの方法で個別に蒸溜される。一度の蒸溜で仕上げることもできるジンづくりにおいて、その繊細な手法はあまりにも異例だ。
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「ブレンダーにとって原酒は絵の具のようなもの」と、門田は話す。蒸溜の方法や素材の処理、蒸溜液を選別するミドルカットなどを細かに変えて、各素材の個性を最大限に引き出していく。そうして生まれた約20色の原酒をブレンドし、ひとつの風景として結実させたGOTOGIN(ゴトジン)は、発売から瞬く間に人気となり、いまや五島の人々が誇る名産品のひとつとなった。
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南の島、北の大地。ふたつの風土が出合った
8月に発売される「GOTOGIN peated Gin 〜厚岸のアロマ〜」は、そのGOTOGINと北海道の厚岸(あっけし)蒸溜所の協業によって生まれたもの。16年に創業した同蒸溜所が目指すのは、地元産の大麦や泥炭を使用した“オール厚岸”のウイスキー。本製品では、厚岸のピーティなニューメイクスピリッツやピート(泥炭)、ピーテッド麦芽などを原料として使用。まだ誰も試したことのない革新的な製法で、ピートが香る“ピーテッドジン”という新ジャンルを創造した。
「ウイスキーとジンというカテゴリの中間に位置するような新しい表現で、カクテルの可能性も広げてくれそう。締めの一杯としてもいいですね」とは、厚岸蒸溜所の立崎勝幸チーフブレンダー。福江島と厚岸の風土やクラフツマンシップが交差する、“風景のアロマ”をお楽しみあれ。
⚫︎長崎県 五島つばき蒸溜所
五島列島・福江島の小さな入江の村に立つジン蒸溜所。フラグシップの「GOTOGIN the origin」をはじめ、会員向けの特別なジンなど、数々のユニークな製品をリリース。仕込みから蒸溜、瓶詰めまですべての作業を約10人のスタッフで行う。土曜と祝日には見学ツアーも実施され、ボトルショップでの製品の購入や貴重な原酒の有料試飲も可能だ。 関連記事はこちら
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⚫︎北海道 厚岸蒸溜所
創業者がかつて衝撃を受けた、アイラ島産のピーティなウイスキーを日本で再現すべく、2016年に北海道の厚岸町で始動。泥炭の層で磨かれた清冽な仕込み水など、恵まれた土地のテロワールを活かしつつ、日本的なクラフツマンシップに満ちた精緻なウイスキーづくりで数々の賞を獲得。日本が世界に誇るクラフトウイスキー蒸溜所のひとつだ。関連記事はこちら
●五島つばき蒸溜所
