【今週のアート記事ベスト3】“逆さ吊り”アートに、ザハの遺作「夕日を遮らない橋」、巨大オレンジの塔まで、最新トピックを一挙紹介!

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    ヴェネツィア・ビエンナーレで注目の“逆さ吊り”アートに、ザハの遺作「夕日を遮らない橋」、巨大オレンジの塔まで、最新トピックを一挙紹介!建築とアートそれぞれの視点で世界の“いま”を映し出す、今週のよく読まれた最新記事3本をお届け。

    第3位 【ザハ最後の遺作】夕日を遮らない“白い橋”が台湾に完成

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    ZHA_Danjiang Bridge_Photography by Paddy Chao

     故ザハ・ハディド氏の遺作「淡江大橋」が5月、台湾・新北市に開通した。たった1本の主塔で全長920mの橋全体を支える、世界最長の単塔非対称斜張橋だ。構想から約28年。大胆な設計が生まれた理由には、淡水河口の夕景を遮らないという美学があったという。

    ザハ最後の遺作が台湾に誕生

    淡水河の河口に夕日が沈むと、台湾海峡へ溶けていくオレンジの光の中に、白く細い弧がひとすじ浮かび上がる。台湾北部きっての夕日の名所に現れた新たなシンボル、「淡江大橋」だ。

    建築家の故ザハ・ハディド氏が設計したこの大橋は、大型プロジェクトとしては氏最後の遺作と言われる。

    橋は塔から斜めに張ったケーブルで桁を支える「斜張橋」と呼ばれる形式で、主塔わずか1本で全体を支える設計だ。非対称構造のこの方式としては世界最長を誇る。橋は5月12日に正式開通し、両岸の淡水区と八里区を結んだ。

    開通式典の夜には、橋はカラフルなライトアップで彩られ、先住民族によるパフォーマンスの歌声が響いた。台湾を代表する舞踊団「雲門舞集」もダンスで花を添えたと、台湾英字日刊紙のタイペイ・タイムズは伝えている。

    式典には頼清徳総統、卓栄泰行政院長、侯友宜新北市長らが顔をそろえた。頼総統は、「この橋は台湾の誇りだ。台湾のランドマークとなり、国際舞台における台湾のもう一枚の名刺になるだろう」と称えた。

    設計したハディド氏はイラク・バグダッド出身で、ロンドンを拠点に活動した建築家だ。2004年に女性として初めて、建築界最高の栄誉とされるプリツカー賞を受賞。大胆な曲線の造形で世界を魅了した。

    台湾・新北市に架かる淡江大橋の着工すら見届けられぬまま、2016年に急逝した。氏の設計事務所ザハ・ハディド・アーキテクツが遺志を引き継いで完成させている。

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    ZHA_Danjiang Bridge_Photography by Paddy Chao

    【ザハ最後の遺作】夕日を遮らない“白い橋”をもっと見る

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    第2位 【巨大なオレンジの塔】ドバイに突如出現、“光る超高層ビル”の正体とは

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    ©JohnseyePhotography

    世界一高いビルと言えば、ドバイにある高さ828メートルのブルジュ・ハリファだが、そのすぐ近くに、オレンジ色に輝く新たな高層ビルが誕生した。建物を外套のように包み込むのは、堅牢なセラミック素材。その優れた遮熱効果を最大限に利用し、過酷な気候にも適応する持続可能性の高い建築となっている。

    超高層複合施設 また一つドバイに誕生! 

    ドバイのダウンタウンに位置するワスル・タワーは、302メートルの高さを誇る超高層ビルだ。地下鉄、歩行者用通路、主要道路へのアクセスに最適な場所に立地しており、ホテル、住宅ユニット、オフィスなど多様な用途に対応した複合施設となっている。

    設計したのは、アムステルダムを拠点とし、世界7カ国にオフィスを持つグローバルなデザイン事務所、UNS。コントラポスト(体重の大部分を片足にかけて立つ人物を描く芸術技法)の動きを取り入れ、左右非対称が生む躍動感を醸し出す、彫刻的で美しいタワーを完成させた。

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    ©Ahmad Alnaji – SARAB

    機能性、デザイン性抜群! タワーを守る伝統素材

    高層ビルが建ち並ぶドバイのスカイラインのなかで、ワスル・タワーをひときわ目立つ存在にしているのはそのファサードだ。外装に使用されているのはセラミック。中東では、歴史的に粘土などを焼き固めたセラミックタイルがモスクの壁面を彩るのに使用され、神聖な空間を表現する装飾として発展してきた。耐熱性、耐摩耗性に優れているうえ、日差しを遮りつつ高いデザイン性も維持できる、この地域ならではの伝統的な素材だ。

    タワーを覆う数千本のセラミック製フィンは、日陰を作り、熱放射を抑え、強風を捕らえることで、砂漠の気候に適応。これにより、市内の旧来のタワーと比べて、冷房負荷(室内の涼しさを維持するために取り除く必要がある熱量)を約10%削減できているという。

    ファサードは、建物の日照方位に応じて層状に構成され、360度に展開している。セラミック製フィンが直射日光による熱取得を遮断しつつ、自然光を建物の奥深くまで取り込むことで、エネルギー効率だけでなく、居住者の快適性をも高めている。それぞれのフィンには、特注のテラコッタ(素焼き)部材を使用。金属質の釉薬(ゆうやく)で焼き上げられているため、時間帯や季節の移ろいに合わせて表情を変化させるという。

    【巨大なオレンジの塔】ドバイに突如出現、“光る超高層ビル”をもっと見る

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    第1位 【全裸の女性が“鐘”に】ヴェネツィア騒然、“逆さ吊り”の衝撃アートとは

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    SEAWORLD VENICE, 2026 © Nicole Marianna Wytyczak

    ヴェネツィア・ビエンナーレのオーストリア館で、裸の女性が鐘に逆さ吊りになるアートパフォーマンスが物議を醸している。気候変動などへの警鐘を意味するとされるが、観る人によっては顔をしかめるであろう館内の展示と合わせ、賛否両論が押し寄せた。

    逆さ吊りの裸体が鐘を撞く

    ヴェネツィア・ビエンナーレのオーストリア館の前に立つと、青いクレーンに吊るされた巨大なブロンズの鐘が目に飛び込んでくる。

    その内側で、全裸の女性が逆さに吊り下がるパフォーマンスが物議を醸している。ゆっくりと身体を揺らし、振り子のように弧を描くたびに、低く重い鐘の音がジャルディーニの庭園に響き渡る。

    機械的な仕掛けは一切ない。人間が裸体を揺らし、鐘の舌(ぜつ。内側で揺れて鐘を撞く部品)とするインスタレーションだ。鐘には「TEMPORA O MORES」(時代よ、風俗よ)と刻まれている。

    鐘は1時間おきに打ち鳴らされる。現代アート専門誌のアートフォーラムが訪れた時点では、アーティストのフロレンティナ・ホルツィンガー氏本人が裸で鐘の内部に逆さ吊りとなり、鐘の音色を響かせていたという。通常は彼女が率いる女性パフォーマー集団が交代で実演する。

    手がけたのは、1986年ウィーン生まれの振付家・パフォーマンスアーティストである同氏。キュレーターのノーラ=スワンチェ・アルメス氏との共同制作で、パビリオンを丸ごと『シーワールド・ヴェネツィア(Seaworld Venice)』と題した作品とした。2年に一度の国際美術展、2026年のヴェネツィア・ビエンナーレで最大の話題作となっている。展示は11月まで続く。

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    Opening Étude, SEAWORLD VENICE 2026 © Nicole Marianna Wytyczak

    演劇界の問題児がアート界でブレイク

    鐘は「警鐘」「失われた時代への哀悼」などを表すと解釈されており、気候変動で水没するヴェネツィアや家父長制への問題提起であるとされる。

    ホルツィンガー氏は、欧州の演劇・ダンスシーンではかなり前からその名を知られていた。だが国際的なアートの世界となると、彼女を知る者はほとんどいなかった。

    アートフォーラムによると、ヴェネツィア・ビエンナーレ開幕前夜、あるジャーナリストが各国からのゲストにオーストリア館を勧めたところ、返ってきたのは「誰それ?」という反応だったという。

    ホルツィンガー氏はこの10年、演劇界の問題児としても名を馳せてきた。ヴェネツィア・ビエンナーレに先立つ2025年の『ア・イヤー・ウィズアウト・サマー(A Year without Summer)』では、性的に過激な場面や出演者の頬を吊り上げる演出が繰り広げられた。

    数時間に及ぶほぼ全裸の公演となっており、身体を酷使する手法に、軽妙な空気感を組み合わせている。

    仕掛けに賛否両論のオーストリア館

    さて、鐘のパフォーマンスから、さらにオーストリア館の奥へ足を踏み入れると、パビリオン全体がひとつの巨大な水循環システムで構成されていることに気づく。

    その中心部、展示の目玉となっているのが、来場者の尿を浄化した水で徐々に満たされるタンクと、その中で潜水し続けるパフォーマーだ。

    来場者が仮設トイレで用を足すと、その尿は各室をめぐり浄化処理を施された上で、やがて人工の「海」へと注ぎ込まれる。ヴェネツィアを取り囲む潟(ラグーン)の潮の満ち引きと人間による汚染を模したものだと、英国現代美術誌のアートレビューは伝える。

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    SEAWORLD VENICE, 2026 © Nicole Marianna Wytyczak

     この「海」で全裸の女性パフォーマーたちがジェットスキーを飛ばし、はしゃぎ回る。過去の公演では観客が失神したこともあるという振付家・演出家のホルツィンガー氏らしい、凄絶な光景だ。

    こうした演出の根底には、風刺の精神がある。インド英字日刊紙のフリー・プレス・ジャーナルは、ジェットスキーが周回する光景を、大量に押し寄せる観光客たちへの皮肉と読み解く。観客自身の体液で維持される水槽は、消費行為の代償を問う装置だ、と。

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