ポケモン30周年という節目に、ポケモン初のスローライフ・サンドボックスゲーム『ぽこ あ ポケモン』が誕生し、話題をさらっている。本作が描くポケモンの現在地を「建築家の視点」から見ていく。
1996年に発売されたビデオゲーム、『ポケットモンスター 赤・緑』。当初からポケモンカードゲームやアニメなどで展開されたポケモンは、30年を経て、アプリ、イベントまで広がり、世界中で愛されている。もはやエンタメの枠を超え、時代の空気を映す“ひとつの文化”になったポケモン。さぁ、そんなポケモンの世界へ――。
『ポケモン最新案内』
Pen 2026年7月号 ¥880
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら
建築家・佐々木慧が考えた、ポケモンが暮らす建築
『ぽこ あ ポケモン』が掲げるジャンルは、スローライフ・サンドボックスである。スローライフという言葉は知っていても、「サンドボックス(砂場)」という言葉には馴染みのない人がいるかもしれない。ゲーム内で与えられたアイテムを駆使し、まるで砂場で遊ぶかのように、城を建てたり、トンネルを掘ったり、ときには自分だけのリゾートをつくることもできる。そんなふうに想像をかたちにして遊ぶのが、サンドボックス型ゲームのおもな楽しみ方だ。
この自由な体験がポケモンたちの豊かな個性と出会ったとき、なにが可能になるのか。今回は、その可能性を探るため、建築家の佐々木慧に「ポケモンが暮らすための建築」のデザインを依頼した。佐々木は、建物が持つ機能性と、不確定な要素としての自然とを共存させることによる、多面的な設計を得意とする。そんな彼がつくるデザインを、ゲーム内で再現してみたのである。

佐々木 慧●建築家。1987年、長崎県生まれ。東京藝術大学大学院修了。藤本壮介建築設計事務所を経て、2021年にaxonometricを設立。おもな設計に「NOT A HOTEL FUKUOKA」「2025年大阪・関西万博ポップアップステージ」など。
まず佐々木は、フシギダネ(くさタイプ)、ヒトカゲ(ほのおタイプ)、ゼニガメ(みずタイプ)の3匹に着目した。ゲーム内で三すくみの関係にある3匹が、あえてともに暮らすとしたら、どのような空間がふさわしいのか。
「ポケモンは人間と自然の関係性の写し鏡であり、ポケモンのための建築を真剣に考えることは、翻って人間と自然のための建築を問い直すことになると感じました。まず、建物の最下部には燃え盛る炎があり、空間全体を温めていきます。その熱を追うように頂部へと進むと、泉がある。そこからあふれ出た水は小川となって落ちて枝分かれし、滝をつくりながら、また火のそばへとやってきます。緑は火と水の力を借りながら、建物全体をゆっくりと覆い、満たしていく。矛盾するはずの『草・炎・水』の要素が、同じ空間の中で影響し合いながら共存する建物をイメージしました」
佐々木が考える、サンドボックス型ゲームの魅力
再現された建物は、交差する街路を多くのポケモンが行き交い、多様な姿を見せる、賑やかな共存空間となった。佐々木は、こうした表現を可能にするサンドボックス型ゲームの魅力を「空間デザインの民主化」と語る。
「かつて、建築や空間をかたちにする手段は、絵や工作などに限られていました。ところが、サンドボックス型ゲームでは、誰もが直感的にブロックを積み上げ、水や重力といった物理法則を感じながら空間を構築できる。『空間を考える』という行為が、子どもから大人まで誰もが楽しめる『遊び』へと開放されたように思えます」
さらに、このゲームにおいてはポケモンという他者が存在する。ここでの建築体験は、他者であるポケモンや世界と自分がどう関わっていくかを定義する、創造的な対話でもあるのだ。
『ぽこ あ ポケモン』
パッケージ版 ¥8,980 ダウンロード版 ¥8,980
©2026 Pokémon. ©1995-2026 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ©2026 KOEI TECMO GAMES 企画開発:株式会社ポケモン、株式会社ゲームフリーク、株式会社コーエーテクモゲームス
関連記事
- 話題のビデオゲーム『ぽこ あ ポケモン』 開発チームが語る誕生秘話。「バトルのない世界を描く」
- 【世界初! ポケモンの屋外常設施設】ピカチュウやリザードンなど600匹以上が生息、大人も子どもも没入する「ポケパーク カントー」を特別公開
- 【たくろう・赤木裕が語るポケモン愛】 相棒はヘラクロス。『Pokémon LEGENDS Z-A(ゼットエー)』で20年ぶりに再燃
- 【オーイシマサヨシが語るポケモン】全1025匹を歌い切る一大プロジェクトと、現在のポケモンライフ
- 【影山優佳の「ポケモンカードゲーム」愛】敗戦をきっかけに突き詰めた、情熱を語る
- 【三村マサカズが語るポケモン】妻と、そして息子とプレイ。家族の傍らには「いつもポケモンのゲームがあった」

『ポケモン最新案内』
Pen 2026年7月号 ¥880
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら